Snow at Hearts . .

09. ページ9

康二 side


翔「小学生の頃にさ、クラスメイトが喘息発作で倒れたことがあったみたいで‥」


と、帰って来た翔太くんの言葉にみんなで耳を傾ける。



その時たまたま隣の席に座っていたのが阿部くんで、幼いながらに見たその発作は強く恐怖心を植え付けられた。


うまく息が吸えず苦しむその子は救急車で運ばれ、そのまま長期入院になってしまったんやとか。


当時の先生が小学生相手には難しい言葉でも、状況を説明してしばらく学校には来れませんと教えていたら、また違ったんかもしれん。



今日もまだ苦しいんかな‥



明日は元気なって学校来るんかな‥



“大丈夫？”の一言さえ、掛けられへんぐらいに怖かったその体験は、今尚阿部くんの心に深く刻まれている。





目「そうだったんだ‥」


ラ「だからあんなに阿部くん‥」


佐「‥悪いことしちゃったな」



重い空気が流れる中、それより気になるんは



康「え？でも一過性ってことは、佐久間くんは治るんですよね？」


佐「治るよ。ちゃんと治療したら治るって先生言ってた。」



康「そうですよね？じゃないと俺そんなん困るわ」


照「何で康二が困るんだよ。笑」


って、笑われちゃっけど。




喘息の人って歌ったり踊ったり、そんなことにも制限かかってしまうんやろ？



そうなったらこの仕事はどうなるん？



舘「そうじゃん。どうするの佐久間？」


ましてや今は舞台の真っ只中。



佐「あー俺まだ喘息の中でも軽い方みたいで、薬飲んでコントロールしながら仕事はしていいって。もちろん無理は禁物だけど。」


翔「そうなの？」


佐「うん。それに俺もよくわかんないんだけど、この咳とか苦しさを止める薬とは別に根本的な治療の薬もあって、そっちはしばらく続けなくちゃいけないみたいで‥」


翔「病院通うってこと？」


佐「そう。だから、リハとかレッスンとか参加できない日も出てくると思う‥ゴメン。」



そう視線を落とす佐久間くんは優しくて、ほんまはすごく繊細な人。



照「そんなの佐久間が謝ることじゃないよ、その分みんなでカバーすればいいだけだろ？」


舘「そうそう。その為に9人いるんだし！」


なんて声にニコッと笑顔が咲く。



佐「そうだよね！ありがとうみんな〜！」




なのに、


目「後は阿部くんっすね」


ラ「あっちはメンタルやばそう」



その言葉にまた笑顔が消えちゃった‥

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