Snow at Hearts . .

21. ページ21

阿部 side


目「家来てください。今、旅行行ってて誰もいないから」


そう、事前に聞いておいて正解だったなと思う。




照「ゴメンなぁ、熱測る間ちょっと我慢しててよー」


と、目黒家の和室に布団を敷いて、今夜はみんな泊まらせてもらうつもりなんだけど、


阿「めーぐろ。ほらそんな握り締めたら痛いでしょ？」


仰向けになってる苦しさを、自らの腕を握ってジッと耐える姿は見てられない。



目「あべ、くん‥」


阿「どした？気持ち悪い？」


目「おなかっ‥」


阿「まだ痛いか。」


と、優しく撫でながら、もう片方の手で腕を握るその手をほどいた。



照「はい、いいよ。横向く？」


それと同時に体温計も鳴ったみたいで、すぐさま体を丸めた目黒は


目「あべく、んん‥」


お腹を撫でる腕に縋るように抱きついてくるから、なんか可愛いなぁ‥って。笑



目「も‥やだ」




普段は、強くいようと頑張る人だから。


尚更そのギャップを感じるのかもしれないけど。




照「大丈夫だって、阿部に横で子守唄でも歌ってもらう？笑」


なんて冗談のつもりだっただろうに、コクンと頷くから


阿「えぇ！？マジで？笑」


なんか俺まで調子狂っちゃう。



とはいえ、吐き気が落ち着いてる間に少しでも眠れるに越したことはないから。



阿「あのカメラマンさん、目黒のこと褒めてくださってたよ」


目「‥ふふっ笑」


阿「嬉しいね。伏し目がちな顔がエ ロくて色気あるって」


目「よか、た‥」



ずっとそのお腹を撫でながら、まだ真新しい思い出話をしていると、小さな寝息が聞こえてきた。



安心しきった顔で無防備に眠る姿は、どこかあどけなくて‥




康「れん、寝ちゃった？」


隣から聞こえるその声にビックリした。



阿「寝たよ。だから康二も目閉じな？」


そう振り向けば嫌だと首を横に振る。



阿「なんで、どうした？」

.

22.→←20.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す