これを装備するにはレベルが足りない！ (ページ46)

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実家の猫こと、ボスを1DKのこの部屋へお迎えしてからというもの、最近は体にのしかかってくる巨大な塊によって目が覚めるようになっていた。

｢ボス…重いよ……｣

眠っていたわたしの体の上でくるんと丸まって寝たフリを決め込むボスに、寝起き一番のカスカスボイスで訴えながらもふもふふわふわの毛並みを撫でれば、今度は人の脇の下にすっぽり収まって暖を取ろうとしてくる。
ボスの頭が乗せられて自由が失われた右腕を諦め、右向きへと寝返りを打ち、枕元に置いてある某林檎マークの付いた真新しいスマホを手に取った。

ロック画面を見れば、8時13分の表記とメールの通知が1件。
昨晩寝る前に確認した時には無かったはずなんだけど、誰だか知らないけど起きるの早いなぁ、と思いながらフォルダを開けば、送り主は中村さんで。
早いというか、受信したのが午前3時半とかいうド深夜どころか明け方近い時間だった。

今日のことで何か気になったことあったのかな、と内容を見れば、「家電屋俺も行くから起きたらメールして」とだけ簡潔に書かれており、それに対して「おはようございます！起きました〜」と、簡単に送り返しておく。

溜め込んだ洗濯物もあるし、ボスの朝ご飯もあるし、今夜の鍋の準備もあるので早々に動き出して布団から出れば、わたしが寝ていた場所へボスが待ってましたとばかりに潜り込む。
それを横目にカーディガンと部屋用靴下を装着して、顔洗いついでに洗濯機を回しに洗面所へ。

今日は夜に栄養摂るだろうし朝昼は適当でいいや、と昨日買ったクロワッサンをトースターへ放り込み、粉末スープの素をマグへ準備し、お湯を沸かす。
沸騰するまでの間にボスの朝ご飯を器に出していれば、いつの間にか彼は傍へやって来ていた。

｢はいはい、向こう持ってくから｣

そう言いながら器を持って炬燵の側へ持って行けば、数歩後ろを着いてくる。
炬燵の電源を入れてから、その帰り道に枕元へ置き去りにしてきたスマホを手に取り、キッチンへと戻って火を止め、湯を注いだらすぐにスプーンで掻き混ぜてから、トースターからクロワッサンを取り出す。
焼いてから時間の経ったクロワッサンも軽く焼くことで表面はパリパリ、中はもちふわに再生出来るので、少し手間でも必ず焼いて食べる派だ。

朝食セットを炬燵へ持って行き、やっと腰を落ち着ける。

土曜アニメや特撮を流し見しながら食べつつ、スマホを開けば再びメールの受信がされているのに気付いた。