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「収録日の今日が21日だから真ん中バースデー的なやつになるのか」
『とんでもないタイミング。あ、中村さん誕生日おめでとうございます。何も用意がありません』
「ありがと。大丈夫、俺も知らなかったし何も用意してない」
『ちなみに昨日は何かお祝いみたいなの、誰かとしたんですか?』
「杉田んちでケーキ食ったな。お前は明日なにか予定あるの?」
『え?』
「え?」
『……大切な物は、全部置いてきたのさ』
「何その突然の少年声、そんな声出せたの?」
『そっちじゃなくてツッコミ下さいよ。ちなみに明日は普通に収録して、家に帰って酒飲みながらゲームして寝ます』
「今年で何歳?」
『22ですね』
「疲れたサラリーマンみたいな予定じゃん」
『世のサラリーマンの皆さんに謝りましょうね』
「友だちとかとは過ごさないの?」
『こっちで気軽に会える友だち居ないんですよねぇ...。社会人になると学生の頃みたく今から会おうぜ!みたいなのって中々難しいですし、今から友だち作るっていうのも難易度高くないですか?』
「まぁ確かに出会いとか狭まるし、俺も同じ業界繋がりだしなぁ」
『やめましょうこの話。今は仕事が楽しくて仕方ないのでそれだけで充分です!次!次にいきましょ!』
「はいはい」
「ん゙ーーーー…終わったぁ……」
無事に2本撮りまで終え、スタッフさんたちとも解散し、スタジオの外で凝り固まった背中を伸ばすように、ぐーっと体を伸ばしていると、出る前にスタッフさんと話していた中村さんも遅れてやって来た。
「おつかれ」
「おつかれさまです中村さん」
「ん」
なんとなく流れで、そのまま駅に向かう道を歩き出すわたしたち。
道中は真面目に収録中のダメ出しを貰ったり、褒めてもらったり、ゲームの話をしたり。
裏表無く話してくれる中村さんは本当に良い先輩だと思う。
「今日はこの後予定あるの?」
「いえ、特にないですけど」
あとは家帰っていつも通りゲームか、台本読んだりするかしかない。
わたしの返答から少しの沈黙のなか、中村さんを見ると、一瞬目が合ったのちに、恥ずかしそうに頬を掻きながら目を逸らされる。
なんだろう?と首を傾げつつ続きを待っていると、「あのさ」と、声を掛けられた。
「……昼飯がてら、どっかで遊んでかない?」
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リクス(プロフ) - キュンキュンします、ありがとうございます (2023年1月28日 22時) (レス) @page19 id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豚汁 | 作成日時:2023年1月22日 7時