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収録も終わって、女性陣たちが集まってスタジオから出ていく中、わたしはその輪に混じらずゆっくりと荷支度をしていると、神谷さんと小野さんが話しかけてきた。
「あれ、つっきーは向こう一緒に行かないの?」
「断りました」
「勇気あるな?!」
「いや、流石にちゃんと理由あってですよ!」
「ほう、理由とは。どれお兄さんに聞かせてみなさい」
「絶対ろくな事考えてないよこの人」
イチャイチャ...もとい、じゃれ合い始めるDear girl組と並び立ち、スタジオの外へと歩きながら続きを話す。
「さっき中村さんから『まだ現場にいる?』ってメール来てて。多分何か用があるっぽいのでそれ待ってるんです」
「ん?」
「中村?」
途端にピタリと動きを止めてこちらに食いつく2人。
「中村くん、つっきーが今日こっちで収録してるの知ってるの?」
「あぁ、はい。今朝メールで聞かれたので」
「へぇ」
「スケジュールとか知ってる感じなんだ…」
「何なんですか2人してその意味深なリアクション」
「だって」「ねぇ…?」と顔を見合わせた2人は玩具を見つけた子供のように笑顔でこちらを見てくる。
何を良からぬ事を考えてるんだかと突っ込もうとしたその時、携帯のメール通知音が鳴ったので「失礼します」とだけ2人に声を掛け、目の前でメールを開く。
送り主は中村さんからだ。
『スタジオの前着いた』
その一文、たったそれだけ。
「あ、居るじゃん。おーい中村くーん」
「げ、」
目敏くその姿を見付けた神谷さんが中村さんの方へ足早に向かい、そしてそれに気付いた中村さんは嫌そうな顔をしながらこちらを見た。
「神谷さんてば絶対楽しんでるよあれ」
「ですよね。…あ、怒られてる」
わちゃわちゃ言い合う2人の元へ小野さんと向かい、たどり着くと「月白さん単品で呼んだはずなんだけど」と、軽く睨まれる。
嘘だ、そんな事言ってないしわたしが連れてきたんじゃないもん。
「人をハンバーガーみたいに呼ばないで下さいよ」
「俺たちポテトとジュース的な?」
「ポテトとジュースは注文してない。帰れ帰れ」
「酷い言い草だよ、こんな後輩になっちゃダメだからねつっきー」
「神谷さんにならいいよ」
「どういう事かな中村くん」
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リクス(プロフ) - キュンキュンします、ありがとうございます (2023年1月28日 22時) (レス) @page19 id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豚汁 | 作成日時:2023年1月22日 7時