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「OO組で飲み会だったんだけど、聞き覚えのある声がしてちょっと見に来た。そっちは収録の打ち上げか」


ぐるりと座敷を見渡した吉野さんがケラケラと笑いながら杉田さんとお喋りをしている。
出入り口に近い位置へ座っていたわたしも自然とその輪に引き込まれる形となり、宮野さんも含めた3人にあれやこれやと茶化された。


「月白さん結構酔ってるでしょ」

「ヤケクソ飲みです今日は」

「目が据わってるんだけどこの子大丈夫?」


宮野さんのツッコミにジョッキ片手に答えつつ、隣に居る他の先輩方へのお酌は忘れない。
染み付いた下っ端精神は我ながら酔ってても忘れないらしく、奥から頼まれた注文も近くに居た店員さんに頼んでおく。
そこまで終わって席へと戻ったところで、杉田さんが「もしかして中村も来てる?」と2人に問い掛けていた。

中村。

その単語にガチャン、とジョッキと皿をぶつけてしまい、視線が集まる。
慌てて元の位置に戻しながら「なんでもないです」と答え、視線をずらすと「向こうの席に神谷くんと三木さんと居るよ」なんて会話が聞こえてきた。

なんというタイミングなんだ。
確かに謝りたくて、機会を伺っていたというのにまさかの今日、この場所で。
流石にアルコールが入ってる今はよろしくない。

どうしようかとグルグル頭を悩ませてるうちに2人とも自分たちの方へ戻ったらしく、杉田さんが水の入ったグラスをわたしに渡してくれた。


「飲むべきじゃなかった……」

「まぁ仕方ない、こういう場だしな」


本当に何もかも申し訳ない。
この収録現場は特に女性比率が高く、例の先輩方の件もあってか未だに他の方々に避けられているわたしは杉田さんにお世話になりっぱなしだった。

何やら携帯を弄っている杉田さんを横目に、「そろそろ一次会はお開きにするか」という言葉が奥の方から飛んでくる。


「杉田さんは二次会どうします?」

「向こうのメンツに誘われたからそっち行く予定だけど、月白ちゃんも来る?」


向こうのメンツとは、恐らくOO組の方だろう。
流石に面識ゼロの三木さんに、絶賛避けてしまっている中村さんの居る場所。
そして何より、男性声優に四方八方囲まれながら飲む新人女性声優というのは外聞がよろしくなさすぎる。
「わたしはこのまま帰ろうと思います」と返し、身支度を始める。


締めの挨拶が終わり、中で杉田さんと別れ、店の外で二次会組を見送ってからわたしも帰路へとつく。

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設定タグ:中村悠一 , 男性声優 , 声優   
作品ジャンル:恋愛
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リクス(プロフ) - キュンキュンします、ありがとうございます (2023年1月28日 22時) (レス) @page19 id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豚汁 | 作成日時:2023年1月22日 7時

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