12-始まりの気持ち ページ27
優心side
宮「Aー！こっち来い！」
「ジャイアン…」
宮「あぁ！今何つった！？」
「聞こえたの、凄い…今行きます」
宮さんとの投球練習が終わってすぐに俺の隣で大声を出してAさんを呼ぶ。
俺は突然の出来事にあたふたする。
あ、やばい…Aさんが目の前にいる…。
宮「よし、これ持って！」
「バット…？なんで？」
宮「勉強してんねやろ？なら、見てるよりやったほうがええ！」
「え？！まって、無理無理！」
宮「大丈夫や！優心がちゃんと取る」
「え？！そういうことじゃなくて…優心くん、嫌なら嫌って言わないと、この人本当にジャイアンになっちゃうよ？」
優「え？！あっの、その」
宮「おい！変なこと言うなや！優心、まっすぐ投げるから取れよ」
優「はいっ！」
そう言って、位置に戻った宮さん。あたふたしてるAさんは…可愛かった。
優「なんか…ここの景色を見せたいって…宮さん言ってました。皆さんも…」
宮さんが大声で叫んでいれば、みんなゾロゾロと集まってくる。
93組は…動画を撮っている。
「…ここに、立ってるのか」
マウンドを眺めるAさん。その姿はあまりにも美しくて…声が出なかった。
「ここに、立てばいいの？」
優「そ、うです。振らなくてもいいので…」
「ありがと」
優「いえ…」
だめだ。芸能人だし、こんな綺麗な人と話したことがないから…どうしていいかわからない。
宮「行くでー！」
優「はい！」
俺がしゃがんで構えると…
西「Aちゃん！打ったれー」
翔「ピッチャー返ししろ！」
「外野うるさいな…」
怒ってる顔もかわいい。
そして、宮さんが投げる玉は真っ直ぐ俺のミットに入ってきた。
ボールを、見届けたAさんは、バットを起き…何故か俺の後ろに来て、背中にピットリとくっつきしゃがみこむ。
優「え、あっの！A、さん？！」
「ムリムリムリ。怖っ…何あれ」
宮「A何隠れとんじゃ！」
宮さんがドシドシとこっちに歩いてくる。
「無理！怖いです。早すぎでしょ。音もびっくりしたし…あんなの打てないし取れない！腕もげちゃう！当たったら死んじゃう！」
宮「もげへんわ！当てへんわ！…てか、いつまで優心にくっついてるん？」
「…いつまででしょう」
宮「俺わかったで？あれやろ、腰抜かしたやろ」
「？！違います」
優「えっ！大丈夫ですか？」
「いや、違うって、宮さん？！何するんですか！」
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作者名：ゆき | 作成日時：2018年11月16日 12時
