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11-朝の時間 ページ25

遥輝side


朝早く起きて、外をランニングする。

少し肌寒いけど…気持ち的にはスッキリする…と思う。

なんて思っとったら…


「A?」


公園の芝生の上でボケーッとしながら座っているAの姿。

もちろんやけど、Aは気がついていない。俺は、ランニングをやめてAに声をかける。


「Aちゃん、なにしてるん?」

「っ!びっくりしたー。遥輝さん…おはようございます」

「おはよ」

「なんか…バイオリン弾きたくなって…少し離れた静かな場所探してここに来ました」


ボケっと座っとるだけかと思っていたら、手には、バイオリンが。


「なんや、バイオリンも弾けるん?」

「はい。下手ですけど、好きです」

「弾いてみ」

「うわ、無茶振り」


俺は、Aの隣に座る。


「…下手ですよ」

「俺、わからへんからええよ」

「それもそれで、落ち込む」


そう言って、弾いてくれた。
曲は知らない。上手いかもわからない。でも…この音、好きやなーって思った。


「てか、持ってきてたんやな」

「はい。絶対に音楽には触れたくなるので」

「ふーん」

「興味なさそうですね」

「んー、音楽を楽しそうにしてるAちゃんには興味あるで?」

「っ!なんですか、それ…」


あ、少し顔が赤くなった。
弾く手をとめて、ケースにしまう。


「遥輝さん、ランニング中じゃないんですか?」

「あぁ、休憩。Aちゃんはもう戻る?」

「休憩してから戻ります」

「一緒やな…。ファイターズには慣れた?」

「そうですねー、慣れました。多分。逆にどうですか?私…」


心配そうに俺の顔を覗く。


「素敵なトレーナーやなって思う。野球の知識はまだまだやけどな」

「勉強中です」

「そうやって俺達のために頑張ってくれる所、凄くええも思う。というか、嬉しい。
Aちゃんは歌手やん。俺達とは違う…。今回だって、監督が勝手に連れてきたかもしれへんけど…怒って帰ることだってできた」

「そうですね」

「それをやらんと…一緒に野球してくれてる。作ってくれてる…俺らも新鮮やし、俺達も色んなこと学べる。Aがきて、いいことだらけや」

「そ、うですか?」

「最初は、歌手やー仲良くなりたいーぐらいやったけど、今は、AAが気になる。仲良くなりたいって思う…一緒にいてほしいって…思う」


我ながら、恥ずいこと言ってるわ…って思って、Aちゃんを見ると…大きな目から涙が流れていた。

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作者名:ゆき | 作成日時:2018年11月16日 12時

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