▢夢の病棟 ページ1
目黒(18) 深澤(26) 非現実
__目黒
夢遊病。
思春期前の子供に起こることが多く、眠っていたはずが突然起き上がり、歩き回ったり物を食べたりする。大体の場合は、その後何も無かったかのように眠る。
夢と名前にあるため夢が関連すると思われがちだが、実際は深い眠りから覚めることの困難さに伴って起こる。
暇を持て余しているが故に増えたこんな知識を、暗い病院の廊下の真ん中に座り込んで思い出す。
別に怒られることなんてない。
身体が冷えるとか、何があるか分からないからとか、そんな風に心配されることもない。
だって、ここには俺しか居ないから。
いつの間にか、夢の中ではいつもここに居た。
一見普通の病院。俺が入院している所とよく似ている。だけど、ここには患者も看護師も誰も居ない。
……いや、それは語弊があるか。
たまにこの病棟に迷い込む人が居る。
だけど、その人達は俺によく似た目をした人ばかり。
俺によく似た、死んだ目をしている人ばかりなのだ。
夢も憧れも知らない。ただ息をして、そのまま死んだ悲しい哀しい人ばかり。
そんな人に用は無いし、俺を見てるみたいで嫌だったから居なくなってもらった。
俺が消えてって言ったらその人は消えていく。というか、成仏していく。
この空間に居る生きている人間は俺だけだからね。
他は皆死んでから来てる。人の夢を死後の世界にしないで欲しいんだけど。
さて、そんな不思議な世界に居る訳だけども。
現実の方でも何も言われない辺り、俺は無意識のうちに歩き回るような夢遊病ではない。
それでも夢遊病を思い出したのは、今この世界が夢遊のようだと思えてしまったから。
なんでここに居るのかなんて分からない。
なんでここに死んだ人が来るのかも分からない。
薄暗い病棟の廊下の真ん中で座って、ぼーっと暗い廊下の奥を見つめるだけ。
きっとそれで今日も終わる。
そう思っていたが、それは違ったらしい。
またあの音がした。死んだ誰かがここに来た音だ。
その音に立ち上がり、受付へと歩けばそこに居たのは、白衣を着た男の人だった。
「貴方は?」
「あ、俺?深澤辰哉っていうんだけど…色々と聞いていい?」
「いいっすよ。」
それから、言葉通り色々と聞かれた。
ここはどこなのか。君は誰なのか。俺はどうしてここに居るのか。死んだのか否か。
どうして来てしまったのかは答えられなかったが、それ以外の答えを受け入れた彼の目は、俺とは違うものだった。
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蜜柑。(プロフ) - はるさん» 読んでくださりありがとうございます。続き書かせていただきます!! (11月28日 0時) (レス) id: 0dff0fdfaf (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 貴方は今宵もプリンセス -読みました!mmabでこういうシチュエーションあったらなーっと思っていたのでワクワクとときめきが止まりませんでした笑もし続きを書いていただけたら嬉しいです。これからも物語楽しみにしています! (11月27日 23時) (レス) @page25 id: 6c02acd669 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑。(プロフ) - dtab担さん» 申し訳ありませんが、パスワードに関しては青鳥でのみの公開とさせていただいております。申し訳ありませんが、アカウントを作ってフォローをお願いします。 (2022年10月9日 21時) (レス) id: 0dff0fdfaf (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑。(プロフ) - 紅蘭さん» 承知しました。現在私生活が多忙で執筆活動が追いつかないため、恐らく4月以降になると思います。申し訳ありませんが、お待ちいただけると幸いです。 (2022年10月9日 21時) (レス) id: 0dff0fdfaf (このIDを非表示/違反報告)
dtab担 - 青い鳥をやってない場合はどうやってパスワードを聞けばよろしいでしょうか? (2022年10月6日 19時) (レス) id: 2b0f5d8a84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑。 | 作成日時:2022年2月18日 20時