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ピンポーン
チャイムが鳴りモニターを確認すると、笑顔で手を振る私の好きな人。
あの日から1年以上、私は彼の都合のいい女だ。
誰がこんな展開を想像しただろう。
てっきり捨てられるとばかり思っていたのに、なぜか続いてしまっている。
彼の気が向いた時、どちらかの家で身体を重ねるだけの関係。そこに恋愛感情は無い。
……いや、正しくは彼に恋愛感情は無い。
惚れた弱みとはよく言ったもので、彼は平気でこういうことをする人間だと分かってもなお嫌いになれなくて。
目「ただいま。Aちゃん」
ましてや名前を呼ばれただけでドキドキしてしまっているのだから。
彼はそれを分かってて私を弄んでくる。
わざと彼女の話を持ち出して、私が嫌そうにするのが楽しいらしい。
目「こないだ彼女がさ」
『目黒くんって、ほんと意地悪だよね』
目「えーどこが?でも、好きでしょ?」
最後には決まって"俺のこと好きなんでしょ"アピールをする。否定できないのが悔しい。
『お風呂沸いてるよ』
目「ね、一緒に入ろっか」
『それは…恥ずかしい、かな』
目「もっと恥ずかしい事いっぱいしてるのに?」
そんな事言われたら何も言い返せないじゃん。
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目「……Aちゃん痩せた?」
湯船の中で私の腹部を撫でる目黒くん。
密着した身体と、耳元で囁かれる低音ボイスにクラクラしてくる。
『あー…最近ジム行き始めて』
目「そうなの?なんで?」
それは……
嫌がる私を面白がって何度も見せてきた細くて綺麗な彼女の写真の数々。
その人に近づけたら、もしかしたら、好きになってくれるかもって。
そんな事を思うくらいにはあなたの事が好きなんです。
目「俺的にはこれくらいがちょうどいいのに」
そう言って後ろから思い切り抱きしめられる。
またあなたはそうやって簡単に私の意思を曲げてしまうのだ。努力もさせてくれない。
目「このまま、していい?」
『……拒否権ないでしょ』
目「そのとおり」
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彼が帰ったあとはいつも心にぽっかり穴が空いたような、そんな気分になる。
身体は満たされているのかもしれないけど、心はすり減っている感じ。
いつまでこんな関係を続けるのだろう。
毎回そう思うのに、彼から連絡が来ると嬉しくて。
都合のいい女でもいいからそばに居たい。
もう自分ではどうしようも無い所まで来てしまった。
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あんこ(プロフ) - 愛結さん» コメントありがとうございます(o^^o)叫びそうにまでなっていただけたとは!最高の褒め言葉です。私が書くとどうしても阿部様になってしまいがちです…そんな彼が素敵なので。引き続きよろしくお願いします★ (4月25日 20時) (レス) id: e8d67e08c2 (このIDを非表示/違反報告)
愛結(プロフ) - 阿部様書いてくださってありがとうございます。仕事休憩中に叫びそうになりました. (4月25日 13時) (レス) @page32 id: 6e8b454d13 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - みぃ〜さん» 初めまして。コメントありがとうございます★同士の方いらっしゃって嬉しすぎます(*^_^*)もう少し出せたらと思ってますので楽しみにしていてください♪引き続きよろしくお願いします! (3月21日 8時) (レス) @page37 id: 69aa8b4767 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ〜(プロフ) - 初めまして。橙さんの相棒はあの人しかいないですね!私、同士です!この作品に出てきたことがなんか嬉しかったです☆色々とお忙しいと思いますが、マイペースに更新頑張ってください!楽しみにしてます♡ (3月21日 0時) (レス) @page37 id: db78e452a1 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます★私の趣味全開の小説にそう言っていただけると励みになります(o^^o)しかも私の心配までありがとうございます…!無理せず頑張ります!今後ともよろしくお願いします♡ (3月16日 8時) (レス) id: 69aa8b4767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2024年2月11日 21時