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渡辺.
ふみの家の前に到着したんだけど、車を降りようとしていたふみの腕を照が掴んでいて。
岩本｢......｣
周央｢大丈夫。怖い夢見ただけ(微笑む)｣
深澤｢...ふみ、何かあったら電話しろよ。いつでも出るから｣
周央｢うん、ありがとうね｣
お疲れ様です、って挨拶をして車を降りていったふみの背中はいつもより小さい気がして。
渡辺｢絶対大丈夫じゃないだろ...｣
葉山｢...アンチのこと、ふみは知ってます。たまたま見つけちゃったみたいで｣
深澤｢やっぱりそうなんだ...。元気がないのもそれが原因なんですか？｣
葉山｢そこまでは教えてもらえませんでした...。でもショックを受けていたのは確かです｣
ふみに対する批判的なコメントはたくさん見てきた。
いつもは受け流しているみたいだったけど、今回のは訴えれるんじゃないかってくらいにアンチが悪質すぎて今まで通りにはいかないと思う。
とにかく、できるだけふみの目に入らないように俺達が気にかけてあげないと。
ーーーーー
周央.
部屋に入って鍵を閉めたのと同時にため息がもれた。
周央｢...あっ、ただいま｣
いつも通りマルが玄関で出迎えてくれているのが嬉しくて、つい顔が緩む。
最近、悪い夢にうなされて泣きながら夜中に起きることが多くて、あんまり眠れていない。
食欲もなければ、体の調子が悪い日がずっと続いている。
レッスンやお仕事に集中できないこともあって、周りに迷惑をかけてしまっている。
"デビューするまでに脱退してくれないかな"
"足引っ張ってんの気づいてないの？さっさと消えてほしい"
今までとは明らかに違う、嫌になるくらい真っ直ぐに飛んでくるたくさんの誹謗中傷の声。
思い出したくないのに、頭から消そうと思えば思うほどその言葉が脳内で再生される。
もう、自分なんて...。
周央｢...うわっ｣
マルが飲む用のお水を入れていたら、ぼーっとしていたらしく食器から溢れてしまっていた。
周央｢えっと、ティッシュ...｣
床に零れたお水を拭いていたら、マルが顔を覗き込んでいることに気づく。
周央｢...ごめんね、こんな飼い主で｣
しょんぼりしているような顔のマルの頭をそっとなでていたら、涙で視界がぼやけてきた。
周央｢っ...(上を向いて涙をこらえる)｣
...ダメだな私。
来年デビューするんだから、もっとしっかりしなきゃいけないのに。
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作者名：燦
| 作成日時：2021年11月29日 3時
