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ー｢健やかなるときも、病めるときも。
あなたは井上Aを、生涯妻として支えることを誓いますか？｣
｢誓います｣
岸くんと顕嵐くんは見つけた。
でもその隣に、怜央くんはいなかった。
｢健やかなるときも、病めるときも。
あなたは永瀬廉を、生涯夫として支えることを誓いますか？｣
最後に言いかけていた言葉は、何だったのだろう。
もっと早く、会えていれば。
｢っ？｣
いきなりちょん、とつつかれて。
びっくりして顔を上げれば、そこにはにこやかな牧師さんがいる。
……あ、もうここまで来たのか。
｢誓い……ます｣
誓って、良いのかな。私は。
ステンドガラスが、光を浴びてキラキラと輝く。
｢それでは──誓いのキスを｣
向かい合わせになる二人。
中列で座っている、岸くんと目が合って。
そっと悲しげに、伏せた。ごめんね。
永瀬の指先が、ベールに触れたその瞬間。
｢お客様！困ります！｣
突然後ろから聞こえたスタッフの声に、会場全体が振り向いた。
視線の先には。
男の人二人がかりで抑えられてる、怜央くんの姿。
大きくなる瞳。息を飲んだ。
｢れ、おくん……｣
呟く名前。無残に落ちるブーケ。
花びらが舞った。
｢っ……！行く、な！A！｣
響く切ない叫び。引かれ合う。求め合う。
ねぇ、思い出してくれたの？涙で滲む視界。
キミしか見えない。ずっと、恋い焦がれてた。
待ってたよ。やっぱり来てくれたんだね。
大きくなるどよめき。気にしてられない。
邪魔なヒールを脱ぎ捨て、走り出そうとした瞬間。
｢待って｣
引き止めたのは、やけに冷静な永瀬の声。
そのままポケットから差し出されたのは──捨てられたと思ったムーンストーンのブレスレット。
｢これ……｣
｢隠してた、ごめん。……なぁ、A｣
まくられるブーケ。露わになる視界。
力いっぱい振りほどいた腕。行かないで。
行かないで。行かないで。行くな。
乱れる黒髪。息を切らして。
｢誰よりも、幸せになって｣
駆け抜けるバージンロード。
永瀬は満足そうに微笑んで、私に背を向けた。
なぜか
『Aは俺の最初で最後の、好きな人』
夕暮れの観覧車を、思い出した。
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ろいなな - 主人公がどっちと幸せになるのか、ドキドキハラハラしつつ、どこか切ない感情が湧いてきて、ラストの予想外の展開に驚き、読み終わる頃には感動の溜め息を溢してしまいました。とても面白かったです！ (2019年7月12日 21時) (
レス) id: 867fd5dec2 (このIDを非表示/違反報告)
ろいなな - 最初は廉くんの小説を読んでみたいという気持ちで読み始めたのですが、怜央くんも出ているのかと感激してしまい、一日中かけて読みきってしまいました…！ (2019年7月12日 21時) (レス) id: 867fd5dec2 (このIDを非表示/違反報告)
＃かのん(プロフ) - 受験が終わって、やっと解禁した｢雪月花の思い出｣。２日で読み終わってしまいました。はじめてれなさんの作品を拝見した時から、ずっとずっと大ファンです。本当に感動しました。この作品、大好きです！ (2019年2月16日 14時) (携帯から) (レス) id: f71de401a4 (このIDを非表示/違反報告)
輝 - 感動しすぎて、涙が止まりませんでした。こんなに感動して、心を動かされる作品を作れるれなさんを本当に尊敬します。ありがとう。 (2019年1月14日 2時) (レス) id: 4c9c32bd1b (このIDを非表示/違反報告)
なつき - とても感動しました。いつも、ありがとうございます。 (2019年1月13日 20時) (レス) id: c54ace13cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れなさん
| 作者ホームページ：れなちゃん(@pinky_t17)さんをチェックしよう https://twitter.com/pinky_t17?s=09...
作成日時：2017年2月10日 17時
