3.蒼風 ページ3
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渋谷の巨大なビルから少し離れた
人気の無い喫茶店。
若い子が来るような場所ではなく
サラリーマンのおじさんたちが
来るような雰囲気で
ひとまず、私はほっと胸を撫で下ろす。
紫耀と外で会う事は、殆ど皆無に等しい。
もしファンに見られでもしたら
紫耀のアイドル生命を潰してしまう。
だからこそ、こうして外で紫耀を待つのが
なんだか新鮮だった。
すると、ガラスのドアの向こうから
帽子を目深に被った紫耀の姿が見えた。
貴「紫耀。」
軽く手をあげると
紫耀が、私の席に向かってくる。
貴「持ってきたよ、保険証。」
そう言って、財布の中から
紫耀の保険証を取り出す。
貴「もう、今日は絶対必要だって言ってたのに。
家出る時、ちゃんと確認しなきゃダ……」
紫「A。」
私の言葉を遮るように
紫耀が、口を開いた。
紫「外で、俺の名前呼ばんといて。」
今まで聞いたことのないくらい
低くて、抑揚のない声だった。
貴「あ………ごめん。」
思わず、反射的に手を引っ込める。
紫耀は、テーブルに置かれた保険証を手に取ると
そのまま席には座らず
バックの中に詰め込んだ。
紫「あんまり、この辺ウロウロせんといてな。
まっすぐ帰るんやで。」
そう言って、少し微笑むと
そのまま出て行ってしまった。
………私だって、気を遣ってるつもりなのに。
周りに若い子がいないのを確認してから
ちゃんと紫耀の名前を呼んだのに。
ほんの少し虚しい気持ちになりながら
私は、喫茶店を後にした。
外に出ると、空はもう夕暮れで
閑静な街並みが、物哀しさを増幅させる。
………せっかくここまで来たんだし
少し、散歩して帰ろう。
紫耀は、きっと今日も帰りが遅いし
寄り道していたって
きっと、気づかない。
その瞬間、前を歩いていた人が
私の肩にドンッとぶつかった。
貴「いった………っ」
持っていたバックが落ちて
中からポーチとケータイが散らばった。
「あ、すんません。」
ぶつかった男の人が
私の荷物を拾ってくれる。
………この人、なんか紫耀みたい。
帽子を、目深に被ってる。
もしかして、芸能人？
貴「ありがとうございます。
すみません、拾って頂いて。」
丁寧にお礼を言うと
彼は、帽子のツバをくいっと上げて
にっこりと笑った。
その瞬間、私は息が止まりそうになった。
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この人＿＿＿＿＿＿＿＿＿永瀬廉だ。
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りんご(プロフ) - サラさん！お久しぶりです！！りんごです(T-T)！(T-T)まだ書いてくださっていて嬉しいです！ (2020年5月5日 5時) (
レス) id: c88a85f3f0 (このIDを非表示/違反報告)
なゆ(プロフ) - おかえりなさい。更新ずっと待ってました！！これからも応援してます。 (2020年5月3日 1時) (レス) id: 69230dd273 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーたん(プロフ) - 続きが早く見たいです！楽しみにしています。 (2019年12月3日 0時) (レス) id: 4f620d47cc (このIDを非表示/違反報告)
かりん - サラさんの作品に昔、REVIVEというものはありませんでしたか？？私の記憶の中ではあったと思うのですが...。あれが本当に好きで、何度も読み返していました。でも今、その作品が無い...。もしかして、もう読めないのでしょうか？（ ; ; ） (2019年1月2日 20時) (レス) id: 2dac70ae5f (このIDを非表示/違反報告)
稀姫(プロフ) - サラさん初めまして。サラさんのファンです。突然で申し訳ないのですが、こちらの作品のような背景や文字色にする方法を教えて頂くことは可能ですか？(；-；) (2018年5月13日 7時) (レス) id: fd5d7b0b55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2017年3月18日 22時
