はな吹雪

旅立ちの日 ページ36

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「ねえさすがに皆過保護過ぎじゃない？」







苦笑いしたAが、段ボールをぱたりと閉じた。







『皆心配してるんだよ』



「だからってさあ」



『いやまあ、うん…』







いろんな人の反応を思い返しながら、俺も苦笑いで段ボールを閉じた。







『だってほら、A一人暮らしなんて初めてでしょ？』







明日の朝、彼女はついに寮を出る。


今村は先週から一人暮らしを始めて、四苦八苦しながらも何とかやれてるようだ。


他にも今年出て行く選手はもう全員出て行ってしまっていて、Aが最後。







「ほら忘れん坊、俺の部屋にタオル置きっぱなし」



「あら」



『そういうところかもね』







ドアを開けたシゲがAにタオルを投げつけて、しっかりしろと笑った。


そう言えばさっき俺の部屋からＴシャツ出てきたんだっけ。何故…？







「寮長明日泣くかな」



『さすがに泣きはしないでしょ』



「泣かれたら引くんだけど」



「でも誰か1人くらい泣きそうじゃない？こんなテンションなら」







職員さんや寮の方たちの最近の落ち込みっぷりったらない。


それほどAが愛されてた証拠なんだろうけど、本人は苦笑いしっぱなしだ。







「嫁に行くんか、わたしは…」



『引っ越してもどうせ自主トレに日本代表にって忙しいもんね』



「荷ほどき終わった頃に寄り付かなくなるんだろうなあ」




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