はな吹雪

今年が終わる ページ33

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「まあ、広島が何とかしてくれるでしょ」



『広島の方応援してんの？』



「そりゃまあ、高井いるし」







最後にベンチを見回したAが、隣で同じように頭を下げていた。


切り替え早すぎ、と苦笑いのトレーナーさんに頭を叩かれてたけど。







「そりゃまあ、共栄としては高井にも経験してほしいだろうし」



『日本一？』



「あの時はわたしも訳分かんないままだったし、ちょっと出ただけだしね」







関係者の人達にとりあえず会釈して進む、ロッカーに戻るまでの道。


来年こそ、今の時点でどれだけの人がそう思えてるんだろう。


隣の彼女は、そう思えているんだろうか。







『A』



「ん、どしたの」



『家、探さないとね』







この秋いっぱいで、Aは寮を出る。


はなが一人暮らしとか出来んの…？と寮では不安の嵐だけど、多分大丈夫じゃないかな。







「あーほんとだ…」



『もう探し始めてるんでしょ？』



「一応ね、球団からの許可も貰わなくちゃいけないし」







Aは女の子だからということで、球団からのチェックも入るらしい。


家具家電は野球部の同級生たちが働いてるところで買うそうだ。


ああいうとこってノルマとかあるんでしょ、せっかくならそこにしようかなって。


いつも見に来てくれるからね、とAは照れたように笑ってた。


なんなら引越しまで手伝ってくれるみたいだけど、そっちの方面にも就職した人がいるのかもしれない。







「5年も寮にいるとさ、思い入れとかもあるけど」



『うん？』



「単純に引越しが面倒だよね」



『Aらしくて安心したわ』


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