はな吹雪

まぶしい　３ ページ15

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『そういや、泰寛会った？』



「うん、寮一緒だし」



『あーそっか、いいよなあ』







試合後。


案の定2安打にファインプレー1つとかいう充分な活躍をしたA。


試合はうちが勝ったけど、当然奢るのは俺。今日は1本打ったけど。







「今年は同い年が多いし、しげも泰寛もいるしね」



『ほんと羨ましいわ』



「そっち高卒多めだもんね、うち大学社会人多めだから」



『泰寛なんてしばらく会ってないなあ』



「その内会えるようになるでしょ、高井も1軍にいてね」



『頑張りますよー』







まだ2軍との境界線でふらふらすることが多い俺と、シーズン通して1軍にいるA。


スタメンになることも増えてきたあいつが、羨ましくないと言えば嘘になる。


それでも、自分が生き残る為に外野手になるなんてかなり勇気ある決断は俺には無理。


外野が好きだって言ってるし高校の時からそうだったのは知ってるけど。







『(お前、キャッチャーの方が好きじゃん)』







2年前、小林さんがジャイアンツに入団した年。


当時プロ3年目、俺は2軍でどんどん経験を積ませてもらって、そっちの正捕手間近だった。


Aは1年の2軍生活を経て1軍入り、やっとプロにも慣れてきて試合にもちょこちょこ出れるようになってた。


そこに立ちはだかるように、社会人卒の小林さんをドラ1で獲得。


Aは徐々に外野にコンバートしていくと言う。


確かにあの時は阿部さん一強だったし、後継者を育てる意味でもいいドラフトだったと思う。


それでもやっぱり、Aがあんなに頑張ってきてるのにって、思わないわけもなくて。


それなのに本人は何も言わないし、何なら仲良くして可愛がられてるみたいだから、話を聞いたことがある。







『お前はそれでいいの？』







良くないと思ってたって、どうすることも出来ないのは分かってたけど。

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