Dear my sister. (ページ27)

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深澤side

岩「佐久間、佐久間ちゃんと手元見ろって」

佐「わかってる、Aちょっと頭動かさないでね」

渡「マジで怖ぇ、」

阿「手、気をつけて。手、気をつけて」

岩「佐久間手元見えてる？ちゃんと見てる？」

俺達の焦った声がキッチンに飛ぶ。
視線の先には野菜とにらめっこを繰り返すAちゃんと、その後ろに立つ佐久間。

なぜこの現場にいたったかというと、
お肉を沸騰した湯につけるまでは順調だったのだが、付け合せの野菜を切るシーンからが問題だった。

深「Aちゃんはママとお野菜切った事あるんだもんね？」

『うん！』

宮「じゃあせっかくだし人参切ってもらおうかな」

『はーい！』

元気良く返事をしたAちゃんの前にまな板を置く佐久間。
そしてそのまま、危ないから気をつけてねと声をかけながら包丁も置いた。
すると、

『これ本物だぁ』

目をキラキラさせながら包丁を見つめるAちゃん。

佐「ん？」

『だってこれママの使う本物のやつでしょ？』

佐「あ、そっか。そうだね。本物だから絶対刃付いてる方触っちゃダメだからな」

『うん』

岩「なになに？包丁に偽物とかある？」

阿「あれかな。いつもは子ども用の手とか切れない包丁使ってるとか？」

佐「そうそう。うちにA用の子ども包丁あるから多分それ使ってるんだと思う。でも今日はちょっと無いから、A これでお野菜切ってもらっていい？」

『これ使っていいの？』

Aちゃんの瞳の輝きが増す。
わあ、と声を上げながらゆっくりと包丁を持ち上げると、Aのより重たいねと続けた。

宮「重い？」

『うん。ちょっと重たい』

深「そっか。大人用だもんな」

岩「じゃあブレたら危ないからふたりどっちか後ろから支えてあげたら？」

佐「そうね、じゃあ兄ちゃんと一緒にやろっか」

佐久間がそう声をかけてAちゃんの背後に周り手を重ねる。
と、

佐「あ、ちょっと待って。これ手元が、」

『人参切る～』

佐「待って待って、Aちょっとだけ待って。」

岩「なになにどしたの」

佐「手元。手元が見えない」

渡「危ねぇ」

阿「上から覗くからじゃん」