実験19 ページ19
.
『字が綺麗』
「周りの変化にすぐ気付く」
『なにそれ。うーん、能力を誇示しない』
「誰とでも打ち解けられる」
『早くない?えーっと、面倒見が良い』
「あんまり裏表がない」
さっきから詰まるのはわたしだけだ。
……わたしは、降谷のことを何も知らない。
『降谷のこと、もっと知りたい』
「僕の…………今のは、僕の長所か?」
『わたしの心の声。5個目は芯がブレないとこ』
「……僕の欲しい言葉をくれる」
たぶん彼は、普段から色んなことに注意して生きているんだろう。わたしは降谷のことをほとんど何も知らないのに、降谷はわたしのことをよく見てくれている。
どちらかといえば申し訳なさが大きい。やっぱりわたしじゃない誰かに実験を頼んだ方が良かったんじゃないか、とまで思ってしまうほどには。
「なあ、そんなに字綺麗か?」
『え、めっちゃ綺麗だよ?羨ましいくらい』
「お前の方が綺麗だろ。先に言われたから困った」
『言おうとしてたの?』
「うん。降谷って書いて欲しいくらい好きだ、お前が書く文字」
『それくらい全然いいけど』
筆箱から付箋とボールペンを出して、「降谷」と書いた。こんなの貰っても邪魔なだけでしょ、と思いながら降谷に渡した。
「お前の名前も書いてほしい」
『わたしの?渡辺でいい?』
「いや、Aって書いてくれ」
『はーい』
スペースがなかったので、降谷と書いた横に少し小さめにAと続ける。名前が並ぶだけで申し訳なさが際立つ。
『はい』
「ありがとう。家宝にする」
『は!?そんなん家宝にしたら末代まで呪われるぞ!?』
捨てろと言っても聞かず、大事そうにファイルに閉まっていた。なんかちょっと怖い。
「僕も書いてやろうか?」
『儀式かなんかなの?めちゃくちゃ怖いんだけど』
丁重にお断りしました。
939人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことぅーげ(プロフ) - 完結おめでとうございます!高校生の降谷さんかっこよかったです感動しました! (2018年10月31日 15時) (レス) id: b537020977 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - こんばんは!完結、お疲れ様でした。さらっと読み返してきました(笑)文字数が足らないので簡潔に、2度目の感想を失礼致します。降谷の感情に確信の持てなかった1度目と、確信を持ってからの2度目。見え方が全然違って読めました。拗らせが成就してくれて嬉しかったです。 (2018年10月27日 23時) (レス) id: 3e157837c2 (このIDを非表示/違反報告)
ユラン@ゆず*(プロフ) - 有紀さん» ミスなんて誰にでもありますから気にしなくて大丈夫ですよ笑。続編も楽しみに待機しておきます!!お気に入り作者登録しましたので、全力待機予定です!(`・ω・´)フンスッ! (2018年10月27日 12時) (レス) id: 2fe76e263c (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - ユラン@ゆず*さん» あ!かっこよく終わらせたかったのに!!!すみません、ご指摘ありがとうございました!!恥ずかしい(;_;) (2018年10月26日 7時) (レス) id: a38a24a1c3 (このIDを非表示/違反報告)
ユラン@ゆず*(プロフ) - 初コメ失礼致します。無事に完結おめでとうございます!文章量も丁度よく私にはとても読みやすかったです。毎回良いところで区切られるので先を読みたい欲が失くならずに完結までお供出来嬉しく思います。...コメント返信と最後の挨拶が2回繰り返されていますよ(小声)。 (2018年10月26日 7時) (レス) id: 2fe76e263c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:有紀 | 作成日時:2018年6月28日 13時