「恋に落ちる実験をしよう」

実験11 ページ11

「スタート」

『わたしの人生なんて、なんでもない17年だよ。そうだなー、小さい頃はなんでも食べれたんだけどさ、きっかけは忘れちゃったけど貝が食べられなくなったの。そこからお魚もダメ、イカもタコもダメ、って気付いたら魚介類全部食べられなくなった。

食べると気持ち悪くなっちゃって、アレルギーないからほんとに嫌いなだけなんだろうけど、小学校の給食でイカフライ？が出た時食べれないから残したら、隣の男の子がバカにしてきて。わたしだって残すの嫌だったのにすごい言われるから泣いちゃって。……たぶん、男子と話すのが怖いのってこれかも。高圧的な態度が怖いみたい。

それから出来るだけ波風立てないようにしてきた気がするなぁ。それこそ好物ひとつ取っても周囲と全然違うし、でもアレルギーじゃないから分かって貰えないし。給食はメニューが決まってるから嫌いだった。全部食べられる日なんて数えるくらいしか無かったかも。


わたしの特徴って偏食くらいしかないし、あと何か聞いてほしいことあるかな。じゃあ高校受験のとき！わたし、入試のとき降谷見たんだよね。顔綺麗だからすごい目立つもん。わたしさ、ここ第一志望じゃないんだ。滑り止め。第一志望落ちた時人生終わったって思った。

第一志望発表の日がこっちの手続き締め切りで、すっごい絶望しながらここ来て、したら、降谷を見つけた。たぶんあの日に手続きしてたってことは降谷もここ第一志望じゃないんでしょ？なのに全部受け入れました！みたいな顔してたから、かっこいいなぁ、って。わたしもこの人みたいに、』


タイマーの音がわたしの話を中断させた。全然狙ってない。


「……それ、お前の人生か？」

『降谷も後半幼馴染の話しかしてなかったじゃん。

ま、わたしが高校生活を楽しめるのはほとんど降谷のおかげってわけ！嬉しいでしょ？』


わたしもこの人みたいに、今の環境で自分ができる最大限のことをしようと思ったんだ。そしたら降谷は新入生代表で入学式で話すからすぐに名前を知って、よく見ればクラスも一緒だった。

ちょっと眩しすぎるくらいよくできた人。その印象は今も変わってない。






『12問目。明日の朝、目が覚めたら何か能力や才能を持っています。何がいいですか？』

「急にSFじみたな」

『わたしは瞬間移動したい。ギリギリまで寝てたい』

「……素直になりたいな」

『？能力や才能だよ？？』

「僕にとって素直になれることは才能みたいなものなんだ」

『ふーん』

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