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誰? ページ9

チトセside

 暗く、淀んだ空気。

 部屋の中はいかにも『お化け屋敷』の様で、歩く度床がギシッと軋む音を立てた。

 (ったく…ビビらせんなよな)

 つっと背中を流れる冷や汗が異様に出て、眉間に眉を寄せる。

 おどおどしつつ、ゆっくりと足を進めて目を細くした時の事。


 ガタ


 (っ!?)

 奥の方で突然、物音が聞こえて予想以上に肩が跳ね上がる。


 何だよっ突然にも程があんだろあーーーーもうっ!


 グシャグシャと頭を掻きむしった後、覚悟を決めて俺はスゥッと息を吸い込んだ。


チ「誰だっ!


 誰だ、誰だ…と叫んだ声にエコーがかかり、広めの部屋全体に響いた。

 叫んでみても返答はなく、強張っていた肩の力を抜く。

 それでもまだ心臓は早鐘の様に鳴り続け、一向に収まる所を知らない。

 一度深く深呼吸をして、そっと目を閉じる。

 (何ビビってんだ俺)

 言い聞かせて、自分の手の平を固く握った。


 本来ならこの手で守るべきものだった、それを手放した虚無感が胸を締め付ける。


 俺は一度手放してしまった…


 だったらそれを取り戻す他、何があるだろうか。


 (絶対、取り戻す)


 カッと目を開けて、さっきのような戸惑いを捨てて大きく踏み出す。

 ズカズカと奥へ奥へ進んでいった、その時、俺は目を見開いた。



チ「…女、の子?」


 視界に映る、しゃがみこんで膝に顔を埋めたまま顔を上げようとしない小さな子供。

 薄いベージュ色の長い髪が何もかもを隠してよく分からない。

 一歩、退いた時に傍に置いてあった置物が小さくカタ、と音を立てた。

 (!ヤバっ…)

 冷や汗が背中をなぞり、軽く身震いをする。

 ピクと体を動かした彼女は、それはゆっくりと顔を上げて固まったまま動けない俺を見つめた。

 始めて見る顔だけど、凄く綺麗な顔立ちをしている。

 ベージュの瞳に一筋の光が走ったように見えた時。



 「貴方は、だぁれ?



 幼い、少女の声が、俺の耳に小さく入り込んだ。

*

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設定タグ:らくだい魔女 , ケイ , 幻の蝶   
作品ジャンル:恋愛
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カメレオン(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、元・爽のカメレオンです。一から呼んでいただいた上、暖かいコメントありがとうございます。実に恐縮です、作者自身あまり思うように書けてない時期もありましたので…… ご期待に添えられるよう更新も進められるように精一杯尽くさせて頂きます…! (2021年11月9日 23時) (レス) id: 59d3ccbf2f (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - はじめまして。幼馴染の約束シリーズから一気に拝見いたしました。構成やキャラ達の心情描写が細かくてすっごく好きです。更新してくださるのを待っております。 (2021年11月9日 22時) (レス) @page21 id: bf741dd95e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ♪稀小椎♪(mej)さん» まーちゃぁん泣大好きよっ久しぶりっっ!!ありがと全力で頑張るね! (2020年9月21日 15時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪(mej)(プロフ) - お久しぶり?です。続き楽しみにしてるで〜 (2020年9月21日 15時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - アミさん» あーりがとーっ!あーちんの想い、受け取ったっキラリ (2020年8月13日 15時) (レス) id: 82f3ba1a1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/  
作成日時:2020年5月3日 18時

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