らくだい魔女と幻の蝶 〜シシィの神秘〜2

過去 ページ4

ハクside


　あの時からずっと、一番近くで守ってあげるって、約束したのに…

　―――『また』守ってあげられなくてゴメンね―――――








カ「え……幻の蝶の妹さん…？」

　彼女の瞳が一回り大きくなる。

　…まぁ当然だろう。

ハ「そうだよ。…シシィの母には妹がいたんだ。長くて青い髪が自慢の、綺麗な女性だった。」

　一度、俺も会ったことがある。

　どの目から見ても美しい以外に言葉はなかった。純粋に綺麗だと、そう思える女性だった。

　ただ、同じ芸能界の者の目から認められなかった一つの理由。それは―――


　『グローデンの都出身だから』。









　そこはトップスターが生まれる聖地であり…悪魔と取引する場所とも言われている。

　見る人を虜にするその美貌は…悪魔たる由縁からきているのではないかとも。

　でも一部はデマだった。

　確かに悪魔はいるかもしれない。が、皆ごく普通の人間だ。

　だけど理解できない人には理解してもらえなかった。

　中には『グローデンの都』を、そこで生まれた人たちを排除しようとする動きも出始めた。

　だから皆、ココで生まれた人たちの事は差別した。

　だけどその美貌だけは認められ、出身を隠蔽して芸能界へ足を進めた。



　でなければ、差別されるか死か。



　それを避けるため、ここで育った人たちは自分の命を守るために…出身を隠している。

　隠蔽していた噂が何故か掘り返されたのは…『幻の蝶』リリィがトップスターとして輝きを増し始めた時。

　何者かは知らないが、リリィの出身を突き止めてしまった。

　それは…娘であるシシィの存在が公になってしまったから。

　彼女は娘に被害が出ないように、これ以上傷つけまいという想いからシシィの元を離れたんだ。

　リリィは娘思いだった。

　でもそれから行方を眩ました。

　誰も知らない、どこにいるかもわからない…

　芸能界は魔法界を騒がせない為、彼女が失踪したことをも隠蔽した。

　トップスターの彼女が表舞台へ出なくなったことは魔法界に大きな打撃を与えたものの…次から次に湧き出てくる新たなスターたちを前に気にすることもなくなった。

　しかし…

　彼女を超える美貌と才能を持つ女優は一人としていなかった。

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