危険な事ばかり。 ページ16
イオside
…シンと妙に静まった空間。
カリンちゃんとハクはそれぞれ自分の部屋で待機してるみたいだ。
…気まずい空気が流れる中、ふと一人の声が響く。
ア「雨、雷…新月の夜。何だか面白そうだね。」
(アラン…？)
意味深な言葉を発した彼に視線を映して、顔をしかめる。
そんな時、テオが下を向いたまま私の手を握った。
イ「っテオ？」
ドキーンッと心臓が高鳴りながら、綺麗な亜麻色の髪をそっと退けて隠れた表情を見る。
逃げ出したいような…強張った顔。
つっと彼の額から一筋の汗が伝って、床に落ちた。
イ「テオ、大丈夫？」
ポケットからハンカチを取り出して額を拭う。
その時、彼が小さく呟いた。
テ「…お前の周りは何でいつもいつも……危険な事ばっかなんだろうな。」
(…っ)
ギュッと苦しくなる胸。
テオ…っ…
たまらず私は握ったテオの手を引いて、強く抱きしめた。
テ「っイオ…」
イ「そんな顔しないでっどうして、テオが私の心配してくれるの？そんな顔見たくないよ…。」
テオは人のことばかり考えてるよね。自分の事なんか棚に上げてさ。
でもね。
たまには自分の事も褒めてあげないと。
イ「テオは抱え込んじゃうから…いつか、ホントに壊れちゃうよ…っ」
震える声を精一杯張り上げてそう言うと、テオの腕がそっと背後に回ってギュッと私を包んだ。
テ「っイオが俺を褒めてよ。自分を褒めるなんて…イオも守れてないのにできねぇから。」
っあーもう。
どーしてそうなっちゃうかなぁ…っ。
更に腕に力を入れて思い切り抱きしめた時、涙が留めなく流れた。
(それでも『嬉しいなぁ』なんて思っちゃう私ってどうかしてる…)
…目を閉じて溢れてきた涙を止め、そんな事を考えながら「分かった」とだけ答えておいた。
数十分後。
バタンッ
突然、大広間の扉が豪快に開いて私とテオ・アランが揃って顔を上げた。
扉の向こうから現れたのは、チトセ君と…可愛らしい女の子。
チ「イオっ！」
イ「チトセ君！…その子は？」
隣を見てそう聞くと、女の子は丁寧にお辞儀をして柔らかく笑った。
エ「初めまして。ハクの妹の『エマ』です。」
妹、という事実に驚いてポカンと口を開ける。
と。
テ「チトセ、どこ行ってたんだよ！」
立ち上がったテオがそう聞いた時――――
チトセ君は外を睨みつけて、口を開いた。
「フウカを助けに行くぞ。」
*
*
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カメレオン(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、元・爽のカメレオンです。一から呼んでいただいた上、暖かいコメントありがとうございます。実に恐縮です、作者自身あまり思うように書けてない時期もありましたので…… ご期待に添えられるよう更新も進められるように精一杯尽くさせて頂きます…！ (2021年11月9日 23時) (
レス) id: 59d3ccbf2f (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - はじめまして。幼馴染の約束シリーズから一気に拝見いたしました。構成やキャラ達の心情描写が細かくてすっごく好きです。更新してくださるのを待っております。 (2021年11月9日 22時) (レス) @page21 id: bf741dd95e (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - ♪稀小椎♪（mej）さん» まーちゃぁん泣大好きよっ久しぶりっっ！！ありがと全力で頑張るね！ (2020年9月21日 15時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪（mej）(プロフ) - お久しぶり？です。続き楽しみにしてるで〜 (2020年9月21日 15時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - アミさん» あーりがとーっ！あーちんの想い、受け取ったっｷﾗﾘ (2020年8月13日 15時) (レス) id: 82f3ba1a1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爽 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/
作成日時：2020年5月3日 18時
