共通している『何か』 ページ11
チトセside
チ「お兄ちゃん、て…。」
驚きを隠せず、俺は目を見開いて彼女…エマを見つめた。
薄いベージュ色の目は虚ろに俺を捉えて、優しく笑った。
エ「うん。ハクは私のお兄ちゃん。」
アイツに、妹なんていたのか？
聞いてないけど…。
(…まぁ、確かに…雰囲気はアイツそっくりだな)
ニコーッと口角を上げて常時満面笑顔、みたいな神様仏様な奴。
…さすがは兄妹と、納得する。
エマ、と名乗る少女は途端にふっと微笑んで俺を見つめた。
エ「君はチトセ、って言うの？」
チ「！？」
何も言ってないのに、一発で戸惑いもなく俺の名前を当てた。
そのことに驚き、一瞬狼狽える。
エ「あ。ゴメンね。私、感覚が鋭いんだ。」
そう笑った彼女は 俺から窓に視線を移し替えた。
外は今、静かな雨が落ちている。
俺の耳に入ってくるのは、その微かな雨音と静かすぎるこの部屋の耳鳴り。
と。
エ「…チトセはキースを知ってるでしょ。」
チ「知ってんのか？」
彼女の口から『キース』という名が出てきて、目を見張る。
エマは笑ったまま、また俺を見た。
エ「…君は、キースの事あまり良くは思ってないみたいだけど。」
この瞳には嘘はつけない。
ついたとしてもきっと、すぐにバレるだろう。
何もかも見透かされている気がして、俺は小さくため息を吐いた。
チ「…そう、かもしれないな。」
キースとか言う奴が絡んでくる度、毎度不快な思いがする。
理由は簡単、黒の国の者だから。
暗黒に包まれた異様な雰囲気を放つ、これこそ黒の国の証。
噂では魔界ともつながりが深いのでは、とされている。
俺も噂につられる人ではないけど…
アイツの存在と今までの関係上、噂が違うとは言い切れなさそうだ。
だけど、そこで思考を止めてもう一度最初から考える。
(いや、でも…何だろう…根本的に何かを嫌ってる気がする…)
外見だけじゃない『何か』を俺は嫌で…
そして、その『何か』はハクにも共通しているところがあると思う。
…正直、アイツもあまり信じてないし。
すると隣でクスクスとエマが笑う声がして、顔を上げた。
エ「お兄ちゃんも、あまり好きじゃないのかな。」
チ「……正直。」
ボソッとそう呟くと、明るく声を上げて笑ったエマ。
そして窓を見つめて、口元に笑みを浮かべた。
エ「私は、キースもお兄ちゃんも、大好きなんだけどなぁ〜…。」
*
*
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カメレオン(プロフ) - 美姫さん» 初めまして、元・爽のカメレオンです。一から呼んでいただいた上、暖かいコメントありがとうございます。実に恐縮です、作者自身あまり思うように書けてない時期もありましたので…… ご期待に添えられるよう更新も進められるように精一杯尽くさせて頂きます…！ (2021年11月9日 23時) (
レス) id: 59d3ccbf2f (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - はじめまして。幼馴染の約束シリーズから一気に拝見いたしました。構成やキャラ達の心情描写が細かくてすっごく好きです。更新してくださるのを待っております。 (2021年11月9日 22時) (レス) @page21 id: bf741dd95e (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - ♪稀小椎♪（mej）さん» まーちゃぁん泣大好きよっ久しぶりっっ！！ありがと全力で頑張るね！ (2020年9月21日 15時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
♪稀小椎♪（mej）(プロフ) - お久しぶり？です。続き楽しみにしてるで〜 (2020年9月21日 15時) (レス) id: 4cf15cbb89 (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - アミさん» あーりがとーっ！あーちんの想い、受け取ったっｷﾗﾘ (2020年8月13日 15時) (レス) id: 82f3ba1a1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爽 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/
作成日時：2020年5月3日 18時
