らくだい魔女短編集 〜リクエスト企画を実行します〜

私が書きたいシーンその2　・セイラside・『スカビオサ』 ページ17

セイラバージョン

　青い海。


　それはいつも貴方を連想させます。



　どこまでも広い心で。




　時に優しく打ち寄せて、





　時に激しく叩きつける。






　貴方が愛しいあの方を想うように。



　私も貴方を想っています。




　マンガでよくありますよね。




　学年一カッコいい人に片想いしていて、目立たない自分が想われることは絶対ない。




　そう思っていた主人公が最終的に想い人と結ばれる。




　都合のいい話。




　ケチ付けたって仕方がないのは分かってる。




　だけど、だけどそれでもマンガの中が羨ましい、妬ましい、憎らしい…




　恋しい。




　あぁ…私も二次元に生まれて、二次元の主人公になっていたら…





　幸せだったでしょうか、








　恋は、叶っていたでしょうか。









　大きな背中も、優しい素顔も、安心できる大きな手も。




　一番最初に目に入れるのはこの私なのに。




　どこかの誰かが言っていました。




　『後悔するくらいなら当たって砕けろ』




　出来るわけないです。





　だって振られると分かっている。





　振られた時の重み、私はその後、耐えられるでしょうか？




　できません。私そんなに強くない。







　無表情不愛想でも、私は、一人の『人』なんですから。





*








*







*







　静かな朝。

　私はバルコニーを開ける。

　遠くに見える海を毎朝見つめて、貴方を想い出していることを、きっと貴方は気付いていない。



　たった一つの願い、『あの人を私にください。』。

　無理なお願いだから、声に出すことなく…誰にも言うことなく、敢えて心で祈る。

　叶う事もなかったし、もう終わらせないといけないのだけれど。



　そっと視線を落として、私は壁に咲いた花を見つける。

　「…こんなところで花開いたって…誰も見つけてくれないのに。」

　呟いて、その花を摘み取った。

　それはちょうど昨日、私が開いていた教科書に貼られていた写真の花だった。

　「貴方も私と同じですね。」




*






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　スカビオサの花言葉は「不幸な愛」。

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