らくだい魔女と幼なじみの約束 〜私たち＆あたしたち、付き合ってますっ！2

『大好き』だから面倒くさくても許してください…！ ページ28

フウカside

フ「うっわ超綺麗！もっとあっちいこーよっ！」

　チトセの手をぐいぐい引っ張り、あたしはもっとよく見ようと屋上の端まで近づいた。

　手すりに手をかけて銀の国を見下ろす。

　こんな綺麗な景色があるなんて知らなかった。

フ「綺麗だね…。」

チ「だな。」

　お互いにそれだけ言い合って、ポーッと前を見つめた。

　…しっかし、何でチトセはここに来たのかな？

　ママが教えてくれたって言ってたけど…何で教えた？

　てか、何故ママ『しか』知らないの？

　(…訳が分からない)

　グルグルと思考回路が複雑になって、あたしは考えるのをやめた。

　そこでチトセが声を上げる。

チ「…小さい頃、約束したの覚えてるか？」

　約束。

　忘れたことなんて一度もない。

　あたしにとってすっごく大事な約束だったから。


　『僕がフーカちゃんを守ってあげる』

　『ホント？』

　『うんっ！大きくなって強くなって、フーカちゃんの隣に居られるように頑張る！』


　そんな約束。

　所詮小さい頃の約束だ。もう忘れてるだろうと、そう思ってたけど。

フ「…チトセ、覚えててくれてたんだね。」

チ「忘れてねぇよ。」

　ちょっと嬉しくて頬が緩む。

　曇っていた心が一気に晴れていく。

　思い切ってあたしは、チトセの背中に飛びついてみようとか変な事を考えた。

　(…これくらいしないとあたしの気持ちに気付いてももらえないんだから)

チ「だからさ―――ってっ！」

　チトセが何か言おうとしてたけど、それを振り切り、あたしは背を向けていたチトセの背中に思い切り飛びついた。

　わっとよろめくチトセをこの際だからと思い、ギュウっと強く抱きしめた。

　誰でもいいわけじゃない。

　チトセだから、出来ることだ。

　真正面から飛びつくなんて大胆な事は出来ないけど。

　あたしなりの自己表現だ。

フ「……ち、チトセの事大好き。」

　小さく呟いて、かっかと火照る顔を背中に押し付ける。

　そうだよ大好きだよ。

　もう苦しくてたまらない。

　不安だよ。どっか行っちゃったら。

　行かないであたしの隣に居て。

　欲望が高まり、自分でも面倒くさいって思うくらいに重い女になっていく。

　でも今だけは許して。

　大好きなんだから、こんな重くって面倒くさい女だけど許して。

　すると。





チ「これだから鈍い奴は困るんだよ…。」





　そんな声が聞こえて、いとも簡単にあたしの体を持ち上げた。

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