らくだい魔女たちの青春のヒトコマ、覗いていきませんか？【多人数合作】

☆それだけを ページ23

フウカside

　昔はもっと、頼りなくて細かったはずの腕。…今はしっかりしてて頼もしくて、力強い。中性的だった顔だって、ホラ今は…段々男っぽくなって、(皆が言うに！)色っぽい。

　…認めたくないけど、認めざるを得ない。

　昔のチトセの面影を今更引っ張り出すようなあたしは…かなり女々しい。



　はぁ、と近くにあった木の根元に座り込む。折角セシルが着せ付けてくれた綺麗なドレスが座り込んだせいで汚れてしまったけど、何かどうでもいい。


　苛々してたはずなのにな、何でだろ。



　モヤモヤ、モヤモヤ。苦しい気持ちで熱くなって。ズキズキ、ズキズキ。何だか張り裂けそうだ。



　そうしていると、心もマイナスへ傾いていく。

　あたしが悪いんじゃない？「変な顔」って言われたぐらいでムキになることなんてないじゃん、いつもの事なのにさ。



　そこでふと、気付いた。

　何が嫌だったのかな。『変な顔』って言葉にイラついてた？ううん。あたしが気にしてたのって…



　本当は誰に『変な顔』って言われてもいい、ただ…

　アイツに、チトセに言われたことが、嫌なんじゃないの？



　霧が晴れてスッキリした頭の中に、一つの答えが浮かび上がった気がした。




*




　いつもはココで『ないない』って首を振っちゃうとこだけど、今は素直に頷いてみようと思う。

　そうだ、あたしは嫌だったんだ。

　変な顔、なんて言って欲しくなかった。だって、今日はいつもよりキメて来たつもりだったもん。

　別にチトセの目を気にして、とかじゃないんだけども！

　…けど普通に「似合ってる」って言って欲しかったなぁとか思ってみたり。

　願ってるわけじゃない、アイツの事だから絶対言わないだろう…


　(あんな言葉聞くぐらいなら、いっそ何も言ってくれない方が良かった)

　らしくないことを考えて、あたしは抱えた膝に頭を乗せて唸る。





　後方ではざわめく会場。…嘘みたいに静かな外。

　視線をもう一度、あの場所へ向けるけど……あたしが考えてた人はとっくにいなくて。可愛い女の子に誘われたんだ、今頃楽しそうにしてるに違いない。



*



　あのねチトセ。いいんだよ、別に。誰と仲良くしてたって関係ないし、あたしだって何とも思ってないし…多分。

　…思い出したんだ。今日のパーティーは何のためのモノなのか。


*



　(青の国誕生おめでとって、伝えたかったの)

　あたしのモヤモヤなんかより先に…誰よりも……君にただ、それだけ。

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