五。 ページ5
*
*
その優しさも、笑顔も、全部彼女のもの。
君にとってそれほどまでに大きな存在がいるなんて、こんなに近くにいたのに知らなかった。
「…あたし、帰る。」
これ以上話したら、あたしはきっと変な事しか言わないだろうから。
もう帰ろう。
驚きからなのか、力が抜けて落ちそうになっていたカバンを肩にかけ直す。
下を向き、決して自分の惨めな表情を見せないようにして、下駄箱から靴を取り出した。
と。
「…何で怒ってんの?」
(…っ)
…こんな時まで見透かされた、とか思ってしまった。
何言ってるの。怒ってるわけないじゃん。
てか、もし怒ってたとして何で怒る必要があるの?
何か、それってまるで…
君にヤキモチ焼いてるみたいじゃん。
バカ。そんなわけない。
あたしが?君に?
ヤキモチ?
そんな感情沸くはずがない。
てか、ムカつく幼なじみがもう隣に居ないって分かったら、いっそ清々するわ。
ムッとして、あたしは振り向き睨みつけた。
「別に怒ってないし。てか、用あるの。離して。」
あたしが反抗するとは思ってなかったみたいで、君は狼狽えて掴んでた腕をすぐに離した。
…あぁ。
すぐ離しちゃうんだね。
もう少し、掴んでくれていても良かったのに。
…『嫌だ』って言ってくれたら良かったのに。
振り向きもせず、あたしは校門まで一直線に駆け出す。
後ろで君が、ずっとあたしを見てる気がした。
…『気がした』だけなんだけど。
・
・
「っはぁっ…」
全力で走って、ホウキを出して、いつも以上に速いスピードで城に帰る。
普通なら門を入って部屋に行くけど…。
今は誰にも会いたくなくて、そのまま自分の部屋の窓から入った。
ホウキをしまい、そのままベッドにダイブ。
(彼女、かぁ)
未だに実感が湧かない。
考えたことなかったもん君に「彼女」だなんてさ。
信じれないなぁ…。
だって、あんなに何人もの人が告白して、よ?
たった一人…しかも普通の、ごく普通の子を選んだってことでしょ?
あたしも見たことないけど、声からして可愛い系の女の子かなって思った。
(…『アカリ』って呼んでたな)
…何でだろ。
その名前を呼ぶ君を想像する度
・
・
心が痛い。
4人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カメレオン(プロフ) - 愛流鈴さん» あーちゃんじゃん久しぶりすぎるて、話してない期間長すぎたわ!!笑笑元気やった?読んでくれてありがとー!更新頑張ります🔥 (2023年3月18日 0時) (レス) id: 2d4ca43412 (このIDを非表示/違反報告)
愛流鈴 - 久しぶりに来てみたら、更新されてて、、、泣いちゃう‼︎この儚いチトフウが最高なんだよっっー‼︎ 流石としか言いようがないですね (2023年3月17日 15時) (レス) @page37 id: 5c552e1b20 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - 来花さん» きゃあああああカロロン久しぶりいいいい話したかったよぉ泣 (2021年1月23日 19時) (レス) id: 7a4cbd292a (このIDを非表示/違反報告)
来花(プロフ) - ケイ!元気?おひさぁ! (2021年1月23日 19時) (レス) id: 2264052246 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - あんなつ♪さん» ありゃっす泣カッコイイ2人を描きたかった次第ですw (2021年1月22日 16時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:爽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/
作成日時:2020年7月7日 10時