三十五。 ページ37
*
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「とりあえず、こんなものでしょう。」
そう言って固く絞ったタオルを額に乗せた執事に、一方代で見ていたあたしは声を掛けた。
「だ、大丈夫なの？」
「先程より大分顔色も宜しいようですし、呼吸も落ち着いておられますし。明日安静にしておけば、明後日には元気になると思いますよ。」
執事の緩やかな笑みに絆され、固まっていた肩の力が一気に抜ける。よかった、と自然に出てくる言葉に内心驚いた。
部屋の近くを運良くも執事が偶々通り掛かっていたから、半ば叫ぶように声を掛けた。
どうしてここに、と執事の目が大きく丸くなって口を開く前に、あたしがそれを塞いだ。
『た、助けて！』
救急キットを片付けながらあたしを横目に、執事は小さく笑んで片手を自分の頬にあてる。
「それにしても無断で場内に侵入なさるなんて……フウカ様でない限り、牢屋行きでしたよ。」
「ち、ちょっと届け物があって、誰にも会いたくなくて……ごめんなさい。」
それ以上は聞いてほしくなくて、見つめていた執事の瞳からそっと視線を逸らす。
空気を読んだのか、執事もそれ以上言及してこなかった。
「何はともあれ、フウカ様のお陰です。」
「……ううん、執事のお陰だよ。」
優しい眼差しを向けられてセシルを思い出しながら、あたしは目を伏せてベッドに横たわって眠る君を見つめる。
会話も何もせずにそのまま見つめているあたしに気をやってか、
数分後には執事は部屋を後にしていることに気付く。
何だか申し訳なくなって、真正面に向けていた視線が自然と下に下がっていった。
(あたし何もできなかった)
思い返してみれば。
昔から君のこと、あんなに近くで見てきたのに、
バカばっか言い合って、ほかの誰よりケンカしたのに、
……一度だって、君に手を伸ばしてあげれなかったね。
文句言ってばっかで、
不器用でぶっきらぼうで、
目なんか合わなくて、
気の利いたことが言えなくて、
ホント、あたし＿＿＿＿＿＿＿＿
(何やってんだって感じ)
「アカリちゃん」とか「彼女」とか。
それどころかあたし、
幼なじみとしてだって、失格じゃない……？
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カメレオン(プロフ) - 愛流鈴さん» あーちゃんじゃん久しぶりすぎるて、話してない期間長すぎたわ！！笑笑元気やった？読んでくれてありがとー！更新頑張ります🔥 (2023年3月18日 0時) (
レス) id: 2d4ca43412 (このIDを非表示/違反報告)
愛流鈴 - 久しぶりに来てみたら､更新されてて､､､泣いちゃう‼︎この儚いチトフウが最高なんだよっっー‼︎ 流石としか言いようがないですね (2023年3月17日 15時) (レス) @page37 id: 5c552e1b20 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - 来花さん» きゃあああああカロロン久しぶりいいいい話したかったよぉ泣 (2021年1月23日 19時) (レス) id: 7a4cbd292a (このIDを非表示/違反報告)
来花(プロフ) - ケイ！元気？おひさぁ！ (2021年1月23日 19時) (レス) id: 2264052246 (このIDを非表示/違反報告)
爽(プロフ) - あんなつ♪さん» ありゃっす泣カッコイイ2人を描きたかった次第ですw (2021年1月22日 16時) (レス) id: b0b3a08d76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爽 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/snow17111/
作成日時：2020年7月7日 10時
