らくだい魔女と幼なじみの約束 × 一人一人の隣 (ページ20)

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●信じて待つことページ20

フウカside

　足手、まとい。

　ストンと落ちてきたその二文字は、あたしの胸と喉を簡単に締め付けて苦しめる。

　グッと唇を噛んで俯くと、アサヒがフッと表情を崩した。

あ「心配になるのは分かるんやけど。…たまには皆を信じてやってもえーんとちゃう？」

　そう言って彼の大きな手＿＿チトセよりは小さい＿＿が再度あたしの頭に乗った。

　…皆の事を信じてないわけじゃない。むしろ、強く信じてる。

　それでも強く思えば思うほど、心配と不安が付いて回るんだ。

　事件に巻き込まれて、とんでもないことが起こってるんじゃないのか。もう戻ってこないんじゃないのか。

　不安でいっぱいなあたしの表情で気づいたのか、アサヒがいつもみたくヘラッと歯を見せて笑った。

あ「俺は信じとるで～？なんせ俺が惚れた女がおるんやもん、負けるわけないやろ。」

　俺が惚れたヤツはみーんな強いもんな！とキラキラさせる彼に、苦笑いを浮かべながら…あたしは大きく深呼吸をした。

　(心配…だけど、)

　皆強いから。きっと、すぐ戻ってくるから。

　もし敵がいたとしても、ソイツなんてぶっ倒しちゃうくらいには皆頑丈だし。

　今までずっと隣で見てきたあたしが言うのだ「絶対」と言い切る自信しかない。

　一つ一つ確認していると、同時に不安も少しずつ減っていく。

　信じて待ってあげるのも大事かもしれない、とそこで初めて思った。

フ「…うん、そうだね。」

　アサヒの一言に勇気をもらって、マイナスの言葉を胸の中にしまい込む。

　(マイナス思考のあたしなんて、らしくないもんね)

フ「み、皆が負けるわけないじゃんっ！超強いの、あたしが一番よく知ってるしっっ」

あ「そーやっ、絶対戻ってくる！」

フ「うんうん！もーアサヒってば、皆の事信用してないのーっ？」

あ「え、いや、俺は皆を信じてたよね？信じてなかったの俺やのーて、フウカちゃんやったよね？」

　「自分の言葉思い出してみ？」と半分呆れた視線を送ってくるアサヒに満面の笑みを返し、ふと視線を窓の外へ向けた。

　季節は秋という事もあって、紅や茶に染まった枯れ葉がヒラヒラと下へゆっくり落下していく。

　手に力を込めた時＿＿＿いつの間にか、手は拳を作っていた。

*