46ｰ1 マーブル色【野坂悠馬】 ページ9
きっと
今の私に見える世界を色で例えるとするのなら、
白と黒、ないしは灰色だ。
人気のない木陰を見つけてはそこへ腰を下ろし、私は一人涙に明け暮れていた。
「どうして、私が…」
『入院の手続きをお願いします』
『このままだと、Aさんの病態は悪い方へ進行していきます』
さっきまで診察をしてくれた医師の言葉が、頭の中で繰り返される。
淡々と病状の経過を言葉にする医師。
その言葉を耳にして段々と青くなっていく両親。
…聞いていられなかった。見ていられなかった。
『……っ！』
『A！どこいくの…！』
そんな空気に耐えられず、私は診察室を飛び出した。
ふと上に視線をやれば、雲ひとつない快晴までもがグレーに見える。
ズキズキと頭痛が襲い、くらりとした眩暈を覚える。
滲み揺らめく視界。
弱々しく重心のブレる自身の身体。
…あれ？
おかしいな。
大好きな空が
大好きな太陽が
青にも赤にも見えないや。
そんな私は、何もかもに嫌悪を抱いてしまっていた。
生きることは死ぬまでの暇つぶしなんだって誰かが言ってた。
でも生まれてから10年とちょっとしか生きていない私にとって、
死ぬだとか終わりだとか、…最期だとか。
そんな終末のことなんて、
これっぽっちも考えたことがなかったな。
「……」
ふと視界に入ってきた同年代の人たち、
サッカー…してる。
空や地面を駆けるサッカーボールを追いかけて走って、笑顔を浮かべて声を上げて。
なんて、楽しそうなんだろう。
サッカーボールはモノクロなはずなのに、
私にはカラフルに見えていた。
あれほど空の色も太陽の色も分からなかったのに、
モノクロの丸い物体には、白と黒以外の色が見えるなんて。
本当に、どうかしてる。
「大丈夫？キミ」
そんな時、頭上から声が降りかかった。
たまらず頭を上げると、見ず知らずの男の子が私を見下ろしていた。
「……」
無表情で私を見つめるその人の瞳に色はない。
強いて言うならば、グレー。
白と黒が混ざってしまった、はっきりとしない曖昧な色。
「…泣いてる。どうしたの」
泣いている私を嘲笑いにきたのだろうか。
なんて、悪趣味なんだろう。
「……誰？あなた」
彼は、キッと睨む私に怯むことなく「うーん、そうだな」と少し考える素振りを見せると
「僕は、通りすがりのキミ」
そう名乗った。
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櫻田海桜 - また、更新再開してほしいです。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page19 id: 00142467d6 (このIDを非表示/違反報告)
風神ノ舞(プロフ) - お久しぶりです。って言っても覚えてなくて当然ですが、恋ふぶきで神童君をリクした元風丸渚です。リク大丈夫でしょうか？天馬君や竹見君の後で構いませんが、雪村君お願いできますでしょうか？ (2019年5月1日 17時) (レス) id: 02f1e78801 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - 名前変更したのですが、すいです。お返事ありがとうございます！メインキャラでは無いのですが、竹見幸助くんなどは大丈夫でしょうか？難しいようでしたら断っていただいても構いません...！ (2019年5月1日 9時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すいさん» いつも読んで頂きありがとうございます！！はい！リクエスト承っておりますよーっ！ (2019年5月1日 7時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - はじめまして、彼方さんの小説いつも楽しみにしております。突然ですみませんが、リクエストなどは大丈夫でしょうか？ (2019年5月1日 5時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年4月30日 14時
