44-1 遠いようで近い【風丸一郎太】 ページ5
彼が強化委員として帝国学園へ転入してはや半年が経った。
と同時に、私たちが遠距離恋愛を始めて半年を迎えた。
「ねえ、次はいつ会えるかな」
「そうだな、GW辺りになるかな」
「楽しみだなあ、一郎太とのデート！久しぶりだもんね」
そう待ちに待って、迎えたGW初日のことだった。
『ごめん、会えなくなった』
と一言、彼からメッセージが入っていた。
今まで付き合っていて、彼が約束を取り消したのは初めてのことだった。
『次の試合に向けて総帥が急遽合宿の予定を入れたんだ』
やがて、彼からのメッセージがぼやけて滲んでいく。
しばらく泣くことを忘れていたからか、久しぶりに溢れ出す涙にどう対処していいのか分からない。
だってそれほど、それ以上に
私は彼から幸せをもらっていたんだ。
『好きだよ、A』
その言葉に何度
愛と幸せを感じさせられたことか。
きっと強化委員で忙しい彼のことだから、もしかしたら、そうなることも仕方ないのだと、
薄々と感じていたのに。
それなりの覚悟はしていた、はずなのに。
でも、でも。
「楽しみに、してたのにな…」
……やっぱり
悲しいものは悲しいよ。
突きつけられた遠距離という現実は、
思ったよりも厳しくて辛いもので、
二人だから、一郎太とだから。
大丈夫なのだと、乗り越えられるのだと。
そう意気込んでたはずなのに、
「悲しいのは、私だけなのかな」
悲しみの淵に立たされていることから、今は自分の方が悲しいんだってつい思い込んでしまう。
きっと彼だって同じくらい悲しんでいるはずだ。
でも、しかし、だけど、
と否定的な方向でどうしても物事を考えてしまう。
こうなってしまった以上、一度沈んでしまった心はなかなか立ち直れないのだと察する。
『そっか』
あまりに萎んだ心を彼に察せられないようにと、苦悶の挙句に絞り出した返事はたったこれだけ。
私はそっと、重たい送信ボタンを押した。
いつもは彼からの通知が来る度に胸を弾ませて、
どんなに淡白なメッセージでも、大好きな人からのものだと思えば跳ね上がる気持ちはなかなかに収まらないもので。
返信をする度にどう返そうかって、文字を打っては消してを繰り返していた時間でさえ私は幸せだった。
だけど、
『会えなくなった』のたった7文字が、
無機質で虚しくて、やけに色がなくて
それらが私の悲哀を駆り立たせるには十分だった。
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櫻田海桜 - また、更新再開してほしいです。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page19 id: 00142467d6 (このIDを非表示/違反報告)
風神ノ舞(プロフ) - お久しぶりです。って言っても覚えてなくて当然ですが、恋ふぶきで神童君をリクした元風丸渚です。リク大丈夫でしょうか？天馬君や竹見君の後で構いませんが、雪村君お願いできますでしょうか？ (2019年5月1日 17時) (レス) id: 02f1e78801 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - 名前変更したのですが、すいです。お返事ありがとうございます！メインキャラでは無いのですが、竹見幸助くんなどは大丈夫でしょうか？難しいようでしたら断っていただいても構いません...！ (2019年5月1日 9時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すいさん» いつも読んで頂きありがとうございます！！はい！リクエスト承っておりますよーっ！ (2019年5月1日 7時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - はじめまして、彼方さんの小説いつも楽しみにしております。突然ですみませんが、リクエストなどは大丈夫でしょうか？ (2019年5月1日 5時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年4月30日 14時
