43-1 剣城兄弟に拾われました ページ1
「兄さん…」
ザーザーと窓に力強く打ちつける雨の音に混じって、俺の弟である京介の弱々しい声が玄関に響く。
俺は扉が開く音を聞くや否や、急いで玄関に駆け寄った。
途中壁にかかっていた時計に目をやれば、時刻は21時を回った頃だった。
「おかえり京介。今日は遅かったんだな…ってその子は！？」
目を疑った。
雨に濡れた京介のその腕には、見ず知らずの女の子が抱えられていたからだ。
「京介、京介…」
その子は、京介に力なく身を預けていて。
その小さな口から、何度も何度も京介の名を漏らす。
「A。悪かった…もう怖くないから。安心しろ」
「……京介の彼女？何かあったのか？」
「ああ」
同じくこの雨に打たれてきたのか、Aと呼ばれた彼女も頭から足先までびっしょりと濡れていて、
艶がかった髪の毛や、着ている制服の裾からは水滴が何滴も滴り落ちていた。
見るからに、京介と同じ学校の子だろうか。
「とにかく上がって。俺はすぐにタオルを持ってくるから」
「…分かった」
二人を部屋の方へ促して、俺はタオルを取りに洗面室へ向かう。
そこから、綺麗に畳まれていた白いタオルを何枚か取り出した。
それらを持ってリビングへと向かえば、ソファに横たわったAさんと、その傍らで心配そうに彼女を見つめる京介の姿があった。
「はい、これ使って」
「悪い、兄さん」
そんな京介にタオルを渡すと、京介はおずおずとそれを受け取った。
その表情は少し強ばっていて、いつもの京介ではなかった。
…これは、何かワケありらしい。
「何かあったんだな。話してみろ」
俺のその言葉に京介は一瞬目を見開いた後、彼女の方へ目を向けて、それからゆっくりと重たい口を開いた。
「襲われかけていたんだ」
「え…この子が？」
「…ああ、奴らに睡眠薬を飲まされているらしい。助けた頃にはこの有様だ」
京介の視線を追って、俺も彼女を見つめれば
すう、と心地いい寝息を立てて眠っている。
眠っている というより 眠らされている、という表現の方が正しいのか。
薬を飲まされたのがついさっきなら、しばらくは目を覚まさないだろう。
「親御さんは？」
「身寄りがないんだ、この子」
…施設で暮らしているってことか。
「他に連絡先は？」
「……」
とうとう京介は口を噤んで俯いてしまった。
その様子は、知らないという意味合いを含んでいた。
…連絡先が分からないんじゃ、どうしようもない。
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櫻田海桜 - また、更新再開してほしいです。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page19 id: 00142467d6 (このIDを非表示/違反報告)
風神ノ舞(プロフ) - お久しぶりです。って言っても覚えてなくて当然ですが、恋ふぶきで神童君をリクした元風丸渚です。リク大丈夫でしょうか？天馬君や竹見君の後で構いませんが、雪村君お願いできますでしょうか？ (2019年5月1日 17時) (レス) id: 02f1e78801 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - 名前変更したのですが、すいです。お返事ありがとうございます！メインキャラでは無いのですが、竹見幸助くんなどは大丈夫でしょうか？難しいようでしたら断っていただいても構いません...！ (2019年5月1日 9時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すいさん» いつも読んで頂きありがとうございます！！はい！リクエスト承っておりますよーっ！ (2019年5月1日 7時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - はじめまして、彼方さんの小説いつも楽しみにしております。突然ですみませんが、リクエストなどは大丈夫でしょうか？ (2019年5月1日 5時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年4月30日 14時
