10ｰ1 "好き"が報われる日【野坂悠馬】 ページ20
学校の人気者という厄介なレッテルの貼られた彼に、私は恋をした。
「野坂くん！あの、....ずっと前から好きです。私と付き合ってもらえませんか...！」
「君は確か、隣のクラスのAさん、だっけ...ごめんね。君の気持ちに応えることは出来ない」
そして、
私の振り絞った勇気は、初めての告白は、
野坂くんの申し訳なさそうな表情と、ごめんねの言葉で静かに散ったのだ。
私にとって野坂悠馬くんはかけがえのない、たった一人の好きな人。
でも、野坂くんにとっての私は、不特定多数の彼のファンの中の一人にしか過ぎないだろう。
じゃあ、行くね。と歩く野坂くんの背中に虚しく手を振る。
悲しかったけど、不思議と涙は出なかった。
だって、覚悟をしていたから。
それでも、こんな私でももしかしたら、なんていう期待も少なからずはあった。
でもそれは、最後まで私の自惚れに過ぎなかった。
そして、失恋後少し経ったある日のこと、
「今日も好き！野坂くん！」
「...ごめんね」
またある日には、
「野坂くん！好き！」
「...ごめん、Aさん」
何度も何度も、野坂くんにアタックする自分がいる。
告白の数だけ、ごめんねが返ってきた。
その表情が本当に申し訳なさそうで、その声まで優しくて、でもそんな所もやっぱり好きだって思った。
フラれてずしんと重たく冷たい心に、暖かいものが場違いに入ってきたかのような感覚。
悲しくさせまいと思った故の返事なのだろうか。
思い切って突き放してくれれば潔く諦めたのになあなんて、人のせいにしちゃって。
嫌気がさしているはずなのに、そんな中途半端な野坂くんの優しさが、いつまで経っても私を諦めさせなかった。
そして、
野坂くんへの毎日にも渡っていた告白が、挨拶のように私の日課となったある日。
「野坂くん！今日もっ」
「Aさん」
「ん...？誰？」
今日もあの申し訳なさそうな顔で、優しい声で、いつものごめんねが返ってくる予定だったのに。
すたすたと歩く野坂くんの後ろ姿と、突然の非日常に驚いて呆然と立ち尽くす私との間、
背の高い知らない男の子が私を見下ろしていた。
そして彼は、淡々と私に告げる。
「もう、関わらないでください」
と。
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Setsuki.(プロフ) - 風丸の話の時に彗星ガールズの歌詞の一部があって感動しました！← (2019年3月28日 21時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - 彼方さん» 有難うございます(感涙)！ (2019年3月17日 10時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - Zeroさん» リクエストありがとうございます！話数の関係でもしかしたら次の小説に移動しちゃいますがまたその都度更新させていただきますね(*´`) (2019年3月16日 19時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - リクエストお願いします!!難しいと思いますけど､不動さんって書けますか?無理だったら全然良いです!! (2019年3月16日 15時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - 妄想乙娘さん» 全て読んでいただけたんですね！(；＿；)とても嬉しいです！これからも頑張ります！ありがとうございます(〃´-`〃) (2019年3月12日 21時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年3月4日 8時
