06ｰ1トラブルペイシェント【野坂悠馬】 ページ12
脳神経外科の病棟看護師に配属されてはや2年。
名札の初心者マークはもうとっくに外れたけれど、私はまだまだ自身を新人ナースだと謳っている。
どうしてかって言うと、
「Aさん！またあの子がサッカーボール持って病室飛び出してたわよ！何してるの、手術前でしょ！？」
「えっ嘘、ごめんなさい...！すぐに連れ戻しに行きます！」
私が今最も手こずらせている、1人の患者のせい。
その人が病室を黙って抜け出して、いつの間にかベッドがもぬけの殻になっていることは、着々と日常茶飯事と化されている。
これは、管理が行き届かなかった私の責任でもあるけど！
本当に術前なのか？ってくらいアクティブに病院を動き回るから、ある意味この病棟1の問題児でもあると看護師の中で密かに噂が立っていた。
私は一息ついて、またかと、半分呆れも入りながらいそいそとナースステーションを後にする。
確かこの後検査の時間だった気がする....待て、私。
これは急いで連れ戻さないと。検査室のスタッフに失礼被ってしまう！
「野坂くーん！」
ここが病棟だということを考慮して、気持ち少し控えめな声で。
病棟1の問題児、私の受け持ち患者さんでもある、野坂悠馬くんの名前を呼ぶ。
「野坂くーん！いたら返事してー！」
「..はい、呼びましたか？看護師サン」
「あああっ！！！！いたー！！！！！」
「ちょっとAさん、声おっきい」
ぐっと野坂くんの手に口を塞がれて、改めてここが病棟だったと思い知らされて、気をつけていたはずなのに、安堵でうっかり大きな声を張り上げてしまった。
「ところでなんでAさん、息切らしてるの」
「いや誰のせいだと思って.......！」
てかなんで患者に心配されなきゃいけないんだ。
私は看護師だぞ。普通逆じゃないの？
そして何故野坂くんは息一つも乱さずに淡々としているんだ。本当に術前の患者か？
あ、分かった。
そういえばこの子、サッカーの世界選手に選ばれたんだっけ。
そりゃ体力限界突破してるでしょうよ。
通りでタフなわけだ。
それに、早く治して皆とサッカーがしたいんだって意気込んでたなあ。
「待てよ」
「ところで看護師さん、僕これから検査があるって伺ってたのをすっかり忘れてました。すみません」
「じゃなくて」
「.......？」
「サッカーボール、どこに置いてきたの？」
「.......あ」
そこで野坂くんも、いつの間にか手元になかったサッカーボールの存在を思い出したようだ。
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Setsuki.(プロフ) - 風丸の話の時に彗星ガールズの歌詞の一部があって感動しました！← (2019年3月28日 21時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - 彼方さん» 有難うございます(感涙)！ (2019年3月17日 10時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - Zeroさん» リクエストありがとうございます！話数の関係でもしかしたら次の小説に移動しちゃいますがまたその都度更新させていただきますね(*´`) (2019年3月16日 19時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - リクエストお願いします!!難しいと思いますけど､不動さんって書けますか?無理だったら全然良いです!! (2019年3月16日 15時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - 妄想乙娘さん» 全て読んでいただけたんですね！(；＿；)とても嬉しいです！これからも頑張ります！ありがとうございます(〃´-`〃) (2019年3月12日 21時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年3月4日 8時
