欲深いのは悪魔か人間か １２

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「貴様は早々に１年の風船を割って、即リタイアしかねん」

『よくご存じですね』

数日前、カルエゴから真顔で言われ、Aも当然だと即答する。

「ねえ、降格は”学業に支障”に該当しないかな？・・・つまり家没収されると思うんだけど」

バラムの言葉にAが固まる。

『・・・遅刻、欠席と違って”学業に支障”は”誰(・)がそうであると判断(・・)するのかは決めてないゆるい方の条件
　いくらでも回避のしようもあるし・・・当時と今では状況も違うでしょ？』

悪巧みをするように、楽しそうに答えるAにバラムは溜息を吐く。

「あほ理事長の指示通り、貴様は単独で校舎内に潜伏する
　敗北条件は”両腕に着けた魔具のスイッチを押された場合”か、”降参”と宣言した場合のみ」

『で、その魔具は？』

「貴様は小細工が趣味のようだからな・・・当日の直前まで秘匿だ」

「安全性に関しては僕らでちゃんと確認するから！あと、片腕だけで逃げ切ったらリセットされるよ！」

『王の教室(ロイヤルワン)に潜伏はダメって・・・隠し部屋とか便利なのに・・・』

「我が校が誇る名誉教室を破壊させる訳ないだろう？」

『この数日という準備期間で、似たような空間を創るのは問題ないですよね？』

「問題しかないわ馬鹿者ッ！」

「本来、校舎を生徒が改造したり破壊するってダメなんだけど・・・理事長が頷きそうだよねぇ・・・」

『・・・そこまで把握してるのに何故、今ルール説明を？』

「敵を前に、怯えながら籠城するタイプじゃないだろう？」

「過激だと僕らが判断したら・・・引き離して試験を中止にするからね？」

『露骨に接触させないような妨害をしていると思えば・・・そういう事だったんですね』

「狩られる立場を理解させてやろうと思ってな」

Aが呆れたように溜息を吐くと、カルエゴが楽しそうに笑みを浮かべる。

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