欲深いのは悪魔か人間か１０ (ページ32)

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オペラが参列者の盃に魔中水を注ぎ、参列者が火を灯す。

「キレイ・・・水が・・・燃えてる！
　・・・って、どうしよう！！作法とか知らない！！
　僕も何かした方がいい？」

「いんや、何もしなくていいよ」

「アリさん！」

「降魔の儀ではまず・・・魔中水って水に火を灯す
　これは参列者の魂を表してる
　で、順番にその火水を主役の大桶に移す
　自分の命の灯火を分けてやるように
　そして捧げ物を掲げ・・・」

「貴方が生を受け、この魔界に降り立ち・・・この地で生きてくださることに深く感謝致します
　イルマ様・・・ありがとうございます」

「こちらこそありがとう！」

アスモデウスから大きく重い誕生日プレゼントを受け取る。

「過酷な魔界において命は儚く貴重なもの・・・降魔の儀は悪魔にとって
　命への感謝の儀なのっさ」

参列者の合間にアリが補足説明をする。

「イルマちイルマち！！あんね！捧げ物どうしようかなーって迷ったから全部もってきた！！
　１０月４日も覚えたよ！！嬉しい日だから火もいっぱい入れちゃうね！Aちゃんの分も私が注いであげよう！！
　はい！！いつもありがとう！イルマち！」

「わわ・・・ありがとう！」

バラバラと降りそそぐプレゼントを取りこぼさないようにイルマが受取り笑う。

「生まれてきてくれて・・・ありがとうイルマくん」

サリバンの温かな手から全身に温もりが広がる。

「僕・・・こんな・・・こんな風にお祝いされたことなくて、この前みたいなご飯も初めてで嬉しかったのに・・・ありがとうって沢山・・・みんなに言ってもらえて・・・すっごく嬉しい！！
　あ”りがどうっみ”んなっ・・・」

ボロボロと涙を流しながら笑顔で入間が告げる。

クラスメイト達がイルマを抱き締め団結する。

『で、２人は溶けて蒸発してくれるの？』

「酷ぃ・・・」
「だって、イルマ様が良い子すぎてお前とのギャップで・・・」

サリバンとオペラが抱き合い涙し、Aは怠そうに溜息を吐く。

「主役は最後にこの火を消すんだよ！フーって」
「え！？この業火を！？」
「やって！やって！！」

困惑する入間のタイミングに合わせ、風魔術で業火を散らすように消す。

「流石イルマ様です！！一息で消されるとは！！」
「ええ！？？」

アスモデウスの言葉に拍手が起き、入間が首を傾げる。