検索窓
今日:54 hit、昨日:51 hit、合計:11,021 hit

ページ17

「あら、会長が青いボールペンなんて珍しいですね〜」

「あ、ああ・・・急にAがくれた」

「良かったですね」

「空腹でボールペンを齧る事などないよな?」

「・・・何言ってんですか?」

ニヤニヤしていたスモークが真顔になる。

「い、いや・・・なあAの推しカラーを知っているか?」

「この前聞いたんですけど〜非公認かつ〜バレたら廃止されるのを恐れてるみたいで〜」

「・・・こっそり使うから!」

「随分と素直になりましたね〜ヒントは本人を連想する色が推しカラーだそうですよ」

必死なアメリに答えは教えずに、ヒントだけ与えてスモークは見廻りに出かける。

「推しカラー・・・確かにイルマの色と言われれば・・・明日は・・・ん?」

机の上に置かれた招待状に首を傾げ、通信機を作動させる。

「アメリ、ようやく同伴の許可がおりたぞ・・・行きたがっていただろう」

「ええ・・・でも・・・あの・・・その日は先約が・・・」

「アメリ・・・今回の貴族会(デビラム)は”大貴族会(デビキュラム)”だ
 ただの貴族間の交流ではなく高位階(ハイランク)悪魔のみが参加を許される貴重な場
 将来お前が私の仕事を手伝う上で、重要な顔合わせだ
 このチャンスを逃しても手に入るほど・・・お前の野望は簡単なものだったか?」

「・・・いいえ」

「Aも参加するだろうが・・・以前のようにダンスをするのは禁止する」

「はいッ!」

沈んでいたアメリは嬉しそうに顔を上げる。

「・・・会場でも無視してほしい所だが・・・彼女の傍は人脈作りの勉強にもなるだろうから禁止はしないが・・・節度ある距離感を意識しなさい」

「はい!」

”すまない、明日だが急用が入ってしまった”

メールを送信し溜息を吐く。

「あと1年・・・」

せめてあと1年・・・イルマが先か、私が後に入学していれば・・・もっと自然に当たり前のように・・・傍にいられただろうか・・・
いや、その場合・・・Aとは会話すら出来なかっただろうな・・・

「・・・なんて、つまらん妄想だな」

イルマ!A!課題終わったか?次の休みだが・・・

一度始まった幸福な妄想にグニャリと視界が滲み、青いボールペンを抱き締める。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:E | 作成日時:2024年2月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。