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「あら、会長が青いボールペンなんて珍しいですね〜」
「あ、ああ・・・急にAがくれた」
「良かったですね」
「空腹でボールペンを齧る事などないよな?」
「・・・何言ってんですか?」
ニヤニヤしていたスモークが真顔になる。
「い、いや・・・なあAの推しカラーを知っているか?」
「この前聞いたんですけど〜非公認かつ〜バレたら廃止されるのを恐れてるみたいで〜」
「・・・こっそり使うから!」
「随分と素直になりましたね〜ヒントは本人を連想する色が推しカラーだそうですよ」
必死なアメリに答えは教えずに、ヒントだけ与えてスモークは見廻りに出かける。
「推しカラー・・・確かにイルマの色と言われれば・・・明日は・・・ん?」
机の上に置かれた招待状に首を傾げ、通信機を作動させる。
「アメリ、ようやく同伴の許可がおりたぞ・・・行きたがっていただろう」
「ええ・・・でも・・・あの・・・その日は先約が・・・」
「アメリ・・・今回の
ただの貴族間の交流ではなく
将来お前が私の仕事を手伝う上で、重要な顔合わせだ
このチャンスを逃しても手に入るほど・・・お前の野望は簡単なものだったか?」
「・・・いいえ」
「Aも参加するだろうが・・・以前のようにダンスをするのは禁止する」
「はいッ!」
沈んでいたアメリは嬉しそうに顔を上げる。
「・・・会場でも無視してほしい所だが・・・彼女の傍は人脈作りの勉強にもなるだろうから禁止はしないが・・・節度ある距離感を意識しなさい」
「はい!」
”すまない、明日だが急用が入ってしまった”
メールを送信し溜息を吐く。
「あと1年・・・」
せめてあと1年・・・イルマが先か、私が後に入学していれば・・・もっと自然に当たり前のように・・・傍にいられただろうか・・・
いや、その場合・・・Aとは会話すら出来なかっただろうな・・・
「・・・なんて、つまらん妄想だな」
イルマ!A!課題終わったか?次の休みだが・・・
一度始まった幸福な妄想にグニャリと視界が滲み、青いボールペンを抱き締める。
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作者名:E | 作成日時:2024年2月25日 23時