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『お礼はあの旗まで送ってくれればいいよ』
「え、本当にいいんですか?長さんよろしくお願いします!」
入間を脇に抱えて、長の背に座るA。
入間の言葉に長が頷く。
『入間に免じて今回は見逃すって、あと乗りたきゃ好きにしろって言ってるけどどうする?』
「ヌ・・・かたじけない」
サブノックが長に深々と頭を下げ、背に乗る。
「・・・会話できてるのか?」
『なんとなく、出来てるんじゃない?』
「普通は会話出来ないんですか?」
不思議そうなサブノックに、Aが答える。
入間が不思議そうに首を傾げる。
『入間が長をふわっふわって褒めたから、嫉妬してるんだよ』
「え!?そうだったの?ごめんね、でもどっちも違う良さがあって・・・」
長の子供に擦り寄られた入間が、申し訳なさそうに撫でる。
表情が緩む入間の写メを撮ってサリバンに送る。
「成立してそうだな・・・しかし、そんなくつろいでよいのか?試験中であろう?」
『良かったね、飛行試験中だから切るよ?』
サブノックの言葉を無視して、サリバンの電話に出てすぐに切る。
再度かかってきた電話にAは舌打ちして入間に投げる。
「わ、わ・・・えっと、はい、おじいちゃん?うん、元気だよ、うん・・・」
『到着したら厭って程、座らされるだろうから、今は座りたくない』
仰向けに寝ながら怠そうに答え、目を閉じるA。
「首席は何がしたいのだ?魔王ではないなら、どんな野心を持っているのだ?」
『・・・。』
「え、寝ちゃったんですか?」
「なあイルマ、本当に兄弟なのか?真逆すぎるだろう」
サブノックが入間を支えていない反対の手でAを指さす。
「手のかかる弟って言って貰えました!人前で姉さんと呼ぶ許可ももらえました!」
「・・・ぉう、良かったな」
嬉しそうに目を輝かせる入間に、サブノックは少し引いたように頷く。
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作者名:E | 作成日時:2024年1月11日 21時