恋物語。《紅一点》《阿部

Story…31 ページ31

彼女が去っていっても


私は、その場から動けなくて…




『…そりゃそうだ。』





自分のものだなんて思ったことはない。



…でも、心のどこかで

期待してしまったのかも。





(回想)





阿部
『…先生、ちょっといいですか？』


坂本
『あぁ。』




『…？』




『阿部くん…？』



阿部
『誰だって初日は緊張するし。

ましてやここ、男だらけでもはや男子校みたいな感じだもん。

女の子一人じゃしんどいよね。』




『…、、』



阿部
『代わりに…俺が紹介します！』








阿部
『A…』


『え、？』


阿部
『…って呼ぶのは、流石に早すぎるかな？』


『…っ。』








阿部
『…Aからしたら

このタイミングでの転校ってしんどかったかもしれないし

望んできたんじゃないかもだけど。』



『…っ。』




阿部
『…俺は、来てくれて本当に嬉しいって思ってる。』







(今)




…こういうのを勘違いっていうんだ。



『…っ、、』




思わず俯いた、その時。

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