堕落。《渡辺

Story…39 ページ39

(今)


『でも…あの時は…信じられなく…て。』


渡辺
『…っ。』


『…素直に…受け入れれば…、良かった…』






…康二を巻き込むこともなく

幸せに満ちた人生が送れていたかもしれない。



”堕落”することはなかっただろう。






『…愛して…くれて、、ありがと…』



渡辺
『A…？』



『…っ…』





震えるその手を…彼へ伸ばす。



…けれど。






ー渡辺 Side



届く前に、虚しく床に音を立てて落ちた。




渡辺
『A…！！』


向井
『……。』




…何度呼びかけても、答えてはくれない。




渡辺
『…俺を置いていくなよ。』


『……。』



渡辺
『Aがいないと…生きる理由がなくなるだろ。』




彼女の存在が

離れていた間もきっと俺を救ってくれてた。



渡辺
『…ねぇ。』



『……。』



渡辺
『…二人だけの世界に行こうか。』



向井
『おい…、どこに…っ、、』





彼女を抱いて、立ち上がり


その問いに答えることなく、車に乗り込む。

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