堕落。《渡辺

Story…23 ページ23

…その時。



康二帰り、送るから。待ってる。




『……。』



佐久間
『どうしたー？』




連絡が来るのも、とことん愛をくれるのも康二。




…なのに




『…本当の自分ってなんなんだろ。』




今、私の心を支配し始めてるのは康二じゃない。






(回想)



渡辺
『…あいつには渡さない。

けど…そう簡単に手に入れてもつまんないでしょ。』



『…っ。』



渡辺
『…Aがもっと俺を欲してくれなきゃ、意味がないの。』







(今)



少しずつ…怖くなるほどに

大きくなる彼の存在。



過去を知っているという特別な状況があるから？




佐久間
『んー、よくわかんないけど

素直になるのが一番だな。』




『……、、。』








ヒカリ
『失礼します。』



渡辺
『…どうも。』



頭を下げ、彼の隣に腰掛ける。




渡辺
『…俺に会いたかった？』




…普通なら、キザな男の一言に聞こえるんだろうけれど


そんな風に感じることはなく。



『…逆に聞いてもいい？

私に会いたかった？』



…なんて答えるんだろう。


ふと、気になっただけ。

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