堕落。《渡辺

Story…14 ページ14

渡辺
『…あぁ、そういう風に聞こえた？』


『…聞こえた。』


渡辺
『俺、まだAのこと知らないじゃん。

…教えてって言ったら、教えてくれんの？』



『…っ。』





康二家におらんやん。まだ外なん?



彼の手にあるスマホが

康二からの連絡が入るたびに鳴るけど


返事をしようにもできない。




『…とりあえず、返して。』


渡辺
『…嫌だ。』


『は、、？』




私が取れないよう、高いところまで腕を上げる。





『子供みたいなことしないで…！』


渡辺
『……。』



『ねぇ…っ。』



不意に姿を躱(かわ)され、そのままソファーに倒れこんだ。



『ちょっと何して…』



向きを正面に戻したタイミングで

彼が馬乗りになって、顔の横に手をつく。





『…！！』


渡辺
『…襲わないってば。』


『…じゃあどいて。』


渡辺
『…さっきの質問に答えてくれるんなら、すぐにどける。』



『答えなかったら…？』






渡辺
『…そんなこと、言わなくてもわかってるくせに。』

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