最後の恋であるように。《渡辺

Story…22 ページ22

ラウール
『すみません、突然で…』


『いえ。お気になさらずに。』



ラウール
『…似てないでしょう？兄と。』


『あ…』


ラウール
『…俺は、養子なんです。

会社で働いてた母が急に亡くなってしまって。』



『えっ』


ラウール
『まだ幼かった俺を、社長が拾ってくださって。

それでも…

兄とは仲が良かったんです。』






そういって私に見せてくれたのは

仲良く並んで映る子供時代の写真。




ラウール
『…ただ、俺はずっと気づいてました。』


『気づいてた？』


ラウール
『兄が…家を、父さんを心から嫌ってること。』



『…っ』



ラウール
『気づいてたけど…なにもできませんでした…っ』



『ラウールさん…』






彼は、苦しそうに顔を歪めながら続ける。



ラウール
『…兄が出ていったあとは、今まで兄一人にかけられていたものが
俺にくるようになって。

それでも、時々言うんですよ。


…翔太でなければ、って。


俺は…どうしたらいいんだろうって思っちゃって。』




『…翔太もラウールさんと話すべきだと思います。』



ラウール
『…！！』



『…私は、彼がやりたいことをやるべきだと
最初からずっと思っています。


長男だから…そんな理由いらないって思ってる人間です。


でも、今私がラウールさんと話してみて感じたことは

お互いに包み隠さず、腹を割って話すべきだって。』

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