変わらないその姿に ページ15
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Mukai said
「おはようございます、！今日からよろしくお願いします…！」
そう言って松竹座のレッスン場に入ってきたのは髪色を黒に戻したAやった。
Aはスタッフさん達に挨拶をし終わると、近くのJrに声をかけられていた。
だから、俺のとこに来たのは5分くらいたった頃だった。
向「髪、戻したんやなぁ…、俺あの髪色好きやったんけどなぁ…笑」
「看守が黒色じゃないと違和感あるでしょ、笑」
向「確かに、笑」
そう、Aのやる役は俺が演じる看守長に忠実でさっぱりとした看守役。
その看守は、看守長のお気に入りである。
まぁ、そうやったん？！って観客を裏切る役やけど…笑
…そんなAとは、違う役なんに完全にやりきるのが春川A。
まぁ、Aのスケジュールを配慮してA出番は少なめやけど。
向「…、」
荷物を置きながら、話すAの姿に少しの違和感を感じた。
向「…A、ほんま背ぇ、伸びたな」
「康ちゃんと5cmしか変わらんよ？笑」
…背も伸びたなのもあるけど何より感じたのは、その背中が前よりもたくましくなったと感じたからだ。
あんなに康ちゃん、康ちゃんって引っ付いてた時があったのが嘘だったかのようやった。
すると、
「待って！康ちゃん、虫！ねぇ、やばい！」
そう声をかけられ、Aのいる方向に向かうと、
向「セミのぬけがらやん、笑」
「…ぬけがらか、良かったぁ…、」
向「でも、なんでセミのぬけがらがここにあったんやろ、」
「…怖かったぁ」
こんな180cmもある子がこんなに虫に怖かってる姿を見ると、昔のことを思い出す。
やっぱり、変わったけど変わらかったんやな、Aは。
.
「ここでの勝手は許さない」
向「なんの騒ぎだ、俺の刑務所で勝手は許さない。」
あのかわいいAからは想像もできない声や、表情。
Aは役になりきる、いや、役に憑依されたかのように、役の魅せ方が上手い。
けど、舞台裏に入れば、
「2幕も頑張ろうな、康ちゃん、」
そう言ってふりゃりと笑った。
…あぁ、やっぱAは、変わってなかった。
俺の大好きなAは。
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作者名：suger | 作成日時：2021年12月5日 7時
