春を消してしまえば【青】

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チャイムの鳴るギリギリに教室に入ると、すでに友達の輪が出来上がっている

昨日出会ったばかりなのに、よく仲良くなれるな

そう感心しながら自分の席に座る









ラウ「おは…よ」


「あ…おはよ」









人見知りなのか、私と同じタイプなのか、ひとり席に座ったまま

挨拶だけ交わし、それ以上の会話はない









「早速だけど、来月に体育祭があります。クラスから男女1名ずつ係決めてください」










担任の掛け声で男女別々に集まり話し合いが始まる

係なんてめんどくさそうだ

みんなやりたがらずじゃんけんで決めることに









「あ…」


「じゃあ宮舘さん、お願いね！」









なんでこうも運が悪いんだ









「女子は宮舘…男子は……村上か、頼むぞ」


ラウ「あ、はい。よろしくね」


「うん、こちらこそ」









男子はラウール…なんだ

顔見知り程度だけどそれでもまだ救われた気がする

早速リレーの順番や誰がどの競技に出るかを話し合わなくてはいけない









ラウ「今日の放課後空いてる？」


「うん、大丈夫だよ」


ラウ「じゃあそこで決めちゃお！」










担任から1年生が出る種目とクラスメイトの中学時代所属していた部活、今日の体育の授業で測った50m走のタイム表を受け取った

体育祭当日にも色々な仕事があるらしい

新学期早々嫌な係を引き当ててしまった…









ラウ「遅い子を速い子で挟んで、バトンのパスゾーンで距離稼いだほうがいいよね」


「うん、確かに」


ラウ「じゃあ50m走のタイムで交互に組んでこっか」










人もまばらな放課後の教室

机に向かい合ってラウールと話を進めていく

話し合いはラウールが全て論理立てて進めてくれてすごくスムーズだ









「ラウール頭いいでしょ」


ラウ「そんなことないよ！Aちゃんの方が勉強できるじゃん」


「勉強じゃなくてさ、地頭っていうのかな…。こんな係めんどくさいって思ってたけど、スムーズに決めてくれるから助かる」


ラウ「えー！なんか嬉しいな」









あまり話さないし見た目はクールな感じだけど、話してみると印象は180度変わった





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