春を消してしまえば【青】

40 ページ40

・





短い髪にもすっかり慣れ、もうすぐ夏祭り

バイトの前に舞白と浴衣を買いに来た









雪月「これ目黒が好きそう！」


「なんで選ぶ基準が蓮なの」


雪月「いいと思うけどな〜、目黒とA！」


「やめてよ」









舞白が指差したのは黒地に大きな白い花が綺麗な浴衣

迷った結果、私は白地に水色の百合の花、舞白は向日葵が綺麗なかわいい浴衣にした


たくさん歩いたので、カフェで一休み









雪月「残念だったねー、バスケ部」


「うん。でも準決勝まで行けるのもすごいよね」


雪月「確かに！ふっかさん達も受験モードになっちゃうのかぁ」


「ちゃんと勉強すんのかなぁ」


雪月「うーん、想像できないね」










阿部ちゃんはずーっと勉強を頑張っているけど、ふっかたちが勉強をしているなんて想像もつかない

お兄ちゃんも進路はどうするんだろうか

家を出て行ったりしちゃうのかな…


少し寂しいな、思いながら舞白と解散してそのままバイト先へ向かった









目黒「おはよ」


「おはよ」





"いいと思うけどな〜、目黒とA！"





今日は蓮と一緒

舞白の言葉を思い出して急に恥ずかしくなってしまう









目黒「買い物してきたの？」


「うん、舞白と。夏祭りの浴衣見てきたの」


目黒「えっ、どんなの？…あ、やっぱいいや。当日のお楽しみにしたい」


「なんかハードル上がっちゃわない？普通の浴衣だよ」


目黒「どんな浴衣でも、Aが着てるならかわいいよ」









蓮はこういうことをさらっと言ってしまうから、本当に心臓に悪い

恥ずかしさを誤魔化すように、頬をぷくっと膨らませる









目黒「ふは、何その顔、かわいい」









そう言って片手でぷしゅっと私の頬の空気を抜く









櫻井「ねーねー、新作のスイーツなんだけど、食べてみてくれない？」


「はい！食べます！」


櫻井「お〜なんかやる気がすごいな」









恥ずかしくて、心臓がうるさくて、店長が来てくれて助かった


新作のスイーツと言って持ってきたのは、爽やかな夏みかんのゼリー

甘酸っぱくて、果実がぷちっと弾ける食感が楽しい









「んー！おいしい」


目黒「夏にぴったりですね」


櫻井「お前らほんとにおいしそうに食うなぁ。これ明日から出すから、覚えといて」


「わかりました」





・

41→←39

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す