春を消してしまえば【青】

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体育館はどのチームも集中していて重い雰囲気


応援席を見上げるとお兄ちゃんたちがいる

だけど、あの女の先輩ももちろんいた

気にしたらダメだ

大きく手を振るさっくんに手を振り返して、スコアボードを持つ


ピーっという笛の合図と共に試合が始まる

いつもはふざけているふっかも真剣な表情

前半はわずかにリードして終了した









深澤「やーばい、強いな」


岩本「準決勝まで来ると違うな」


「がんばって」


渡辺「ありがと」









休憩時間も集中を切らさない選手たちにボトルを渡す

私には翔太たちが勝てるように祈ることしかできない


休憩時間はあっという間で、後半が始まる

わずかなリードはあっという間にひっくり返ってしまった

残り1分


翔太を見ると、諦めたような表情をしている









「翔太！………ばか！」









自分でもなんでこんなに大きな声で叫んでいるのかわからなかった

しかもばかって

だけど翔太は少し笑ったかと思うと、一気に走り出した

待っていたかのようにふっかからのパスが回ってきて、翔太は直接ゴールを狙う


残り3秒

3、2、1…とカウントを刻むタイマーがやけにゆっくりに感じた


翔太が投げたボールは綺麗な放物線を描き、ネットに吸い込まれるように入る…と思いきや縁に当たって落ちていく





ピピーっと笛が鳴り試合終了の合図

終わっちゃったんだ

実感が湧かないまま整列しているみんなを見つめる


1回負けただけなのに終わってしまうなんて

だけど、だからこそ1試合にかける思いが強くなるんだよね









「お疲れさま」









試合が終わり、お兄ちゃんたちもやってきた









渡辺「ん…ありがと」


岩本「マネージャー引き受けてくれてありがとね」


「こっちこそ、誘ってくれてありがとう」


深澤「みんなでバスケすんの楽しかったな〜」


佐久間「やめろよ！俺が泣きそう！」


阿部「佐久間は声出してただけじゃん」


宮舘「今日はいっぱい食べよう」


佐久間「よっしゃー！食べるぞ！」


岩本「だから声出してただけだろ」









後ろから先輩がやってくるのが見えて、そそくさとその場を離れた

これでマネージャーの仕事は終わり

だからもう、なにもされないことを祈った





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