淡雪の舞うセカイ (ページ2)

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朝食を食べ終わると全員で片付ける。これは最初に暮らし始めたときからのルール。
片付けが終わると全員でもう一度机を囲む。
「今日は特に急ぎの依頼もないし、ゆっくりしようか。」
そう深澤が言う。途端に一斉に動き出す様子に苦笑いを隠しきれなかった。

ここはギルド『Schnee Elfen(雪の精霊)』。ギルドとは正式に認可されている何でも屋のようなものだ。
精霊と共存しているとはいえ、精霊絡みの事件も起きる。それを解決するのもギルドの役割の一つである。とはいえそんな事件はめったに起きないが。
そんなギルドの長を務めているのが深澤である。
ギルドに所属する、ギルドを立ち上げるには最低限の条件がある。それは精霊と契約した精霊使いであること。たったそれだけだが、すごく重要なことなのである。
もちろん他の所属している面々も精霊使いである。
火種のない暖炉に火を灯した宮舘は火の精霊と、阿部は植物の精霊とそれぞれ契約を交わしている。

「ちょっと佐久間くんまた動物拾ってきたの？」
家中にラウールの声が響き渡る。驚いて目を覚ました深澤は慌てて庭に顔を出す。
庭では雪にまみれた佐久間が小さな動物を抱えていた。

「体が冷えちゃってただけだろうね、しばらく温めてたら大丈夫だろ。」
「風邪ひくから早く風呂入って来い。」そう言いながら岩本は佐久間にタオルを投げる。
佐久間は動物の精霊と契約を交わしている。それ故なのかはわからないがこうして弱っている動物を拾ってくることも多々ある。
「薬も調合する必要ないかな？」
「体が温まる程度でいいと思う。」
「はーい。」と言いながら深澤は調剤室と書かれた部屋に入っていく。
深澤は毒の精霊と契約を交わしている。それによって得た知識は薬を調剤するのに役立っている。

渡辺は水の精霊と、岩本は電気の精霊と、向井は大地の精霊と、目黒は月の精霊と、ラウールは光の精霊とそれぞれ契約を交わしている。

もちろんそれぞれに得意なこと苦手なことはある。それを補えるのもギルドのいいところである。