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帰り道、後部座席には佐久間さん。
阿部さんを送り届けて、佐久間さんの家までの道を辿る。まだ一度しか行ってないから完全にナビ頼みなんだけど、昨日より余裕がある。
まぁ、車の大きさが違いますからね。
佐「阿部ちゃんはね、あーゆー所あるんだよね」
A「はい?」
佐「基本的には落ち着いてるしさ、空気読んで行動してくれるんだけど…こう…なんかスイッチが入ると、我が道をいくというか…」
A「あー…今回もそうでしたね」
佐「そうなんだよねー…AB型だからなのかわっかんないけどさ、ごめんね」
A「いえ…正直あんなタイプとは思わなかったので驚きましたけど、ノートは埋めたらもう見ないってのは事実なので…大丈夫です」
佐「ありがとー。阿部ちゃんはさ、勉強が自分の強みであり個性だって考えてるからさ、特に勉強のことになると熱中しちゃうの。ごめんね」
A「大丈夫ですよ、有り難うございます」
正直、驚いた。
昨日の様子では、どちらかといえば引いてみる立場というか。俺が俺がって言うタイプではないんだろうなと思っていたから…こうグイグイくるとは思わなかった。
けど、佐久間さんの話を聞いて腑に落ちたと言うか。
昨日、岩本さんが言っていた「個性が強い」という言葉。個性というのは、芸能界においては強みだ。個性が無いと、生き残れない。
阿部さんが「勉強」が自分の個性だと考えているならば、あんなにノートに拘ったのも頷ける。あのノートは、いわば普段生活しているだけでは手に入れられない情報だ。それは知識を得るためのアイテムとして、非常に有用だろう。
そして、佐久間さん。
すごく、人のフォローがうまい人だ。気遣いがしっかりできるひと。
A「今日はコンビニどうします?」
佐「今日はやめとくよーん。昨日まだまだくじ残ってたからさ、明日にするー!ラストワンほしいもん!」
A「なるほど笑」
その言葉を確認し、佐久間さんを家まで送り届ける。
車から離れたのを確認して発進させようとすると、慌てて外から窓をノックされた。
佐「Aちゃん、LINE教えて」
A「え?」
佐「俺以外みんなでかいからさ、なんか無理言われても、でかいやつから見下ろされると反論しづらいっしょ?そういう時は俺に言ってよ、反論してやっからさ」
A「えっ…」
佐「ね?」
A「あっ…はい、ありがとうございます」
これも、佐久間さんの気遣いなんだろう。ありがたく交換させて頂いた。
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作者名:まめ | 作成日時:2022年10月22日 14時