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その後は特段何も起こらず、普通に会話をして、順調に運転できていた。


岩「あ、そこ曲がったら俺んちなんで。地下駐車場に停車場あるんで、そこに停めてもらっていいですか」

A「わかりました」


地下駐車場…に、停車場…想像できない世界がまたきたわコレ…
そんなハイスペックなマンションになんて住んだことがありません!我が家は1DKなんです!!(他人に自室にはいられたくないから、Dは死守した)


岩「そこから地下に入れます」

A「ここですね…」

岩「そうです、で、えーと…そこの左が停車場なんで」

A「お!わかりました…よっ…」


おっ!いい感じに寄せて停めれたんじゃない?どう!


岩「お、寄ってます。いいですね。だいぶ慣れました?」

A「おかげさまで、1人で事務所に帰る自信が生まれました」

岩「それはよかった。気をつけて返ってくださいね」

A「はい、ありがとうございます。では」

岩「あっ、待って」


発車するために窓を閉めようとしたとき…急に呼び止められた。えっ、なんか忘れ物?


A「なにか伝え忘れとかありました?」

岩「伝え忘れと言うか…」

A「ん?」

岩「あの、俺ら…その、個性がすごく強いんですよね。だからその…付き合っていくの大変かと思うんですけど」

A「はい」

岩「目黒も言ってましたが、俺たちといっしょに、がんばってくれますか」


…なんか。
なんか、なんか。

なんだろう、この人は。
きっと、リーダーとしてすごく責任感があって。
けどだから、不安になることもたくさんあって。
付き合う人、信じる人、いっしょにいたい人をしっかり見極めていて。

きっとこの質問も、そのひとつ。

じゃあ、わたしの答えはひとつで。


A「新しい世界、連れてってくれるんですよね」

岩「!!はい!」

A「新しい世界がどんなものなのか、今はまだ知らないことばかりなので想像もできないんですけど」

岩「はい」

A「たくさん勉強します。たくさん努力します。なので、連れてってもらう、ではなく、一緒に新しい世界の扉を開けるような人間になります」

岩「!」

A「がんばらせてください、一緒に」

岩「はい!よろしくお願いします!」


初めての、握手。
私の手を包み込む大きな手。

前の職場で、「働く場所」に希望も夢も抱くことを諦めていたけど…
この人と、この人たちと、頑張っていきたいなって、そう思った。

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作者名:まめ | 作成日時:2022年10月22日 14時

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